最強の闘犬「ピットブル」にまつわる誤解

2022/05/03

最強の闘犬「ピットブル」にまつわる誤解

日本を震撼させたピットブル逃走劇

4月6日、こんなニュースが日本中を駆け巡りました。

ざっと、そのニュースを振り返りますと、「世界最強」の闘犬アメリカン・ピット・ブル・テリアが千葉県市川市の動物病院から逃走。逃げ出した犬は体長130センチぐらいで、体重が40キロ以上の大型犬。住民が怯えている…。

こんな内容でした。

これだけ読むと、平和な街に野放しになったピットブルという恐ろしい犬が大暴れするというパニック映画のようなシーンを想像してしまいますが、このニュースには、ほのぼのとしたオチがあったんです。

実は、ほんわかしたニュースだった

ピットブルが病院から逃走した理由…それは注射が怖かったからなんです。

かかりつけの動物病院のインターホンを押した瞬間、注射を受けると察知。ジタバタしていた反動で、首輪が外れ、逃げてしまったという事。
(★首が太く、毛が短いので、スポッと首輪が外れやすいそうです)

しかも、お利口さん

逃走してから14時間後に、無事保護されたのですが、警察官に保護された時も「おすわり」していたそうです。
(★めちゃめちゃ、かわいい)

つまり、この逃走劇。注射を恐れたワンちゃんが逃げちゃったというだけの話で、
住民に被害は出ていないのです。

そんなほんわかしたニュースをアミメニシキヘビや猿など、動物の逃走劇が大好きなテレビ番組や一部のYouTuberの方々が大騒ぎしただけだと僕は思っています。

ですが、その代償として、ピットブルのイメージが大きく損なわれてしまったのです。

「大型犬」という報道がありましたが、実際に調べてみると、体重は14キロから36キロほどで、比較的大きめの中型犬。テレビの報道が盛っている事、恐怖を煽っている事が分かります。

また「世界最強の闘犬」という扱いにも疑問が。

ブルドッグとテリアの血統を引くため、闘争本能は高いと言えますが、犬の中には100キロを超える超大型犬もいるため、大きくても30キロ台のピットブルを最強と呼ぶのには無理があります。

なぜ凶暴なイメージがつきまとうのか

なぜ凶暴なイメージがつきまとうのか

ブリーダーさんの見解を総合すると、ピット・ブルは勇敢ではあるものの、本来は温厚で、賢い犬種。実際、歴史上の偉人に愛好家が多く、発明家のトーマス・エジソンやヘレン・ケラー、アメリカのセオドア・ルーズベルト元大統領などがピットブルを飼っていたと言われています。

しかし、闘争心の強さを俗に言うアウトローな方々が利用して、用心棒のような扱い(しつけ方)をしていた事から、ピット・ブル=凶暴なイメージが定着していったようです。

忠誠心の強い、賢いワンちゃんだからこそ、飼い主の求める役割を果たそうとしていたのかもしれません。

「鯉が臭いのは鯉が元々臭いのではなく、水が臭いからだ」と言います。同じように、元々悪い犬などいないのです。

とは言え、力が強いわんちゃんなので、小さなお子さんのいるご家庭や、初心者の方が飼育するには、ハードルの高い犬種である事は間違いありません。

ご興味のある方は、迎える前に必ず、経験豊かなブリーダーさんなどに相談して下さい。

名犬に育つのも、危険な犬に育つのも、飼い主さん次第です。

悪の象徴やステイタスとして、ピットブルを育てるのはやめて下さい。

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この記事を書いた人

小谷亮介

小谷亮介

1976年生まれ。放送作家。
5歳の時から40年以上、犬と暮らす自称「愛犬家」。
令和元年の秋に千葉などを襲った台風の前日に次男が子猫を拾い、現在は犬と猫(仲悪い!)との生活を送る。
放送作家としてはTBSラジオ「伊集院光とらじおと」、ニッポン放送「飯田浩司のOK!Cozy up!」などを担当。

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