犬と猫の関節を守るために獣医が教えるサプリメントの活用法
2025/05/16

変形性関節症とは
年齢を重ねたわんちゃんやねこちゃんには、
「なんとなく動きが鈍くなった」「階段をのぼりたがらない」「いつもよりジャンプしない」など、ちょっとした変化が見られることがあります。
こうしたサインは、もしかすると「変形性関節症(OA)」が始まっているのかもしれません。
変形性関節症は、関節の中にある軟骨がすり減り、炎症や痛みを引き起こす病気です。
少しずつ進行するため気づかれにくく、発見されたときには思っている以上に不自由になっているケースもあるため、早めのケアがとても大切になります。
関節の健康をサポートするサプリメント

治療にはお薬を使うこともありますが、それに加えて、関節の健康をサポートするサプリメントも注目されています。
よく使われる成分には、軟骨の材料になる「グルコサミン」や「コンドロイチン」、炎症をやわらげる働きをもつ「オメガ3脂肪酸」や「緑イ貝エキス」などがあります。
これらはお薬ではないので即効性はありませんが、毎日のごはんと一緒にコツコツ続けることで、関節の動きをスムーズにしたり、違和感を軽減したりするサポートが期待されています。
ただし、サプリメントの効果についてはまだ研究段階のものも多く、体質や症状によって合う・合わないがあります。
「予防的に飲ませておけば将来安心」とまでは言い切れませんが早めに取り入れることで進行をゆるやかにできる可能性はあります。
特にグルコサミンやコンドロイチンについては、否定的なデータも一部報告されていますが、症状が出る前の予防的な使用がひとつの選択肢になるかもしれません。
サプリメントと同様の成分が含まれている関節ケアのフードもあるので色々調べてみてもいいと思います。
炎症を測るバイオマーカー
さらに最近では、「体の中でどのくらい炎症が起きているか」を知るためのバイオマーカーも注目されています。
わんちゃんでは「CRP(C反応性タンパク質)」、ねこちゃんでは「SAA(血清アミロイドA)」という物質が炎症時に増加します。
ただし、変形性関節症では大きな腫れや熱が出ることは少なく、これらのバイオマーカーと実際の症状が一致しないことも多くあります。
たとえ数値が低くても、関節内のバイオマーカーを測定してみるなどの手法もあります。
動きが悪くなったと感じたら、早めに獣医さんに相談してみましょう。
最近はサプリメントだけでなく、長期的に炎症とうまく付き合うためのお薬なども開発されています。
少しでも気になることがあれば、まずは病院へ。
病院がちょっと苦手な子であれば、おうちでの様子を撮った動画や気になることを相談するだけでも大丈夫です。
変形性関節症は治すというより、「うまく付き合っていく」ことが大切な病気です。
サプリメントや日々のケア、そして体の中の炎症を意識することで、わんちゃん・ねこちゃんが年を重ねても快適に過ごせるよう、できることから少しずつ続けていきましょう。
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この記事を書いた人

獣医師 塩田純一郎
獣医師。
首都圏で5年間犬猫を中心とした診療に携わりました。その後は病気のメカニズムや細胞たちの反応、薬の作用について勉強しています。
日常の身近な疑問や病気のメカニズムについて、わかりやすくお話しできればいいなと思っています。
よろしくお願いします。
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