落ちた!衝突した!ワンちゃんが頭をぶつけた時に気をつけること

2022/07/14

落ちた!衝突した!ワンちゃんが頭をぶつけた時に気をつけること

頭をぶつけたときに注意すべきこと

だんだん暑くなってきましたね。ワンちゃんも外に遊びに行ったり、運動したりする機会が多くなってきます。また、自宅で遊んでいるときも起こる事故。その中でも今回は頭をぶつけたときに注意すべきことを含めて頭部外傷について解説していきます。

頭をぶつけてしまった時はヒトもワンちゃんも焦りがちですが、まず落ち着いて状況を把握し、場合によっては急いで病院に行って適切な検査を受けましょう。
コラムの最後には、特に外傷に注意すべき犬種も紹介します。

頭部外傷で出てくる症状とは?

頭部にあって、最も重要な臓器、
頭をぶつけた時は、ただ外側を怪我しただけなのか、脳にまでダメージが入っているのかで状況が大きく変わってきます。

ここでは脳へのダメージによって現れるかもしれない症状を簡単に列挙します。これらが出てくる症状の全てではありませんが、似たような症状が出てくるようであれば要注意です。

痙攣・麻痺

筋肉が異常な収縮を繰り返すことで発生します。
外傷では神経の一部が障害を受けた時に四肢のしびれや震えが発生することがあります。症状の出方によっては手が硬直してしまい、上げたままにする場合も。これは脳の障害だけではなく、それより下位の神経である脊髄に障害が起きた時にも現われます。
また、震えが全身に起きることもあり、痙攣発作と呼ばれます。潜在的なてんかんを持っている子もこのような発作症状を出すことがあるので注視してあげてください。

目の異常

瞳孔の大きさも神経症状の1つになります。
症状の出方としては左右どちらかの瞳孔のみが小さくなることを始め、明るい場所での瞳孔の散大、暗い場所での縮瞳、ピンホールと呼ばれるような極端に小さくなった瞳孔などの症状があります。
また眼球自体の動きの異常として出てくることもあり、眼振(がんしん)と呼ばれます。文字通り目が左右、あるいは上下に規則的な震えが生じるものです。

旋回運動

旋回運動とは左右いずれかの方向に回り続ける症状です。
ほかには、斜頸(頭を左右どちらかに傾けた状態)になることも。外耳炎や脳炎で起こることが多い症状ですが、外傷でも起こりえるので注意しましょう。脳の中央部、前庭領域にダメージを受けた時にみられます。

無気力や意識の低下・興奮

頭を打った直後に著しくテンションが下がることもよくあります。
怪我をしてしまった事に対する精神的なショックでテンションが下がることもありますが、刺激に対する反応が全体的に低下する場合もあり、こちらは神経症状の可能性もあるため注意が必要です。
普段大好きなご飯や遊びに対する反応が下がることもあれば、視界に入った物体の動きに過剰に反応して、チック症のような症状を示すこともあります。

特に外傷に注意すべき犬種と原因

特に外傷に注意すべき犬種と原因

頭をぶつけた強さは同じでも、強い症状が出やすい犬種もあります。
それはチワワポメラニアンなどの小型犬たちです。

小型犬は特に大泉門(だいせんもん)と言われる頭蓋骨の空隙(すきま)が開いていることがあります。これは成長の過程でいくつかの骨が癒合して(合わさって)頭蓋骨を形成しますが、癒合の具合が甘く、おでこのあたりに骨で守られていない空間ができます。この場所は、他の部位と異なり防御力が弱く、衝撃が直接脳に行ってしまうことも。

また頭蓋骨骨折も起きやすくなります。
頭部の外傷で生じうる怪我の例としてよく聞く脳震盪やくも膜下・頭蓋内出血は、いままで書いてきた症状をもたらす原因になります。そのほか頭蓋骨骨折や頭皮の裂傷や打撲なども同時に起きることがあります。

頭部の皮膚は他の部位と比較して血流が多いため、少しの傷でもひどく出血することがあります。大きな血管は少ないですが、なかなか止まらない事が多いので病院で処置してもらいましょう。

今回は頭部外傷について解説してきました。
骨折などと異なり症状がゆっくり出て来ることも多く、わかりにくかったり症状の出方が特殊だったりするため慌ててしまうことも多々あります。症状によってはMRIなど特殊な検査をする必要も出てくるので、落ち着いて病院に行って検査をしましょう。

ふらつき歩行・歩様異常

最もわかりやすい神経症状の代表がふらつきです。
歩行していく際の足の置き場や歩幅がずれてしまうこと(失調歩行)、歩いたり障害物を避けようとしたりする時の距離感の不一致(測定異常)などがあります。また、ふらつきがある場合には上手に踏ん張れないため、じっと立っている姿勢も、普段の足幅よりも広くなることがあります。

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この記事を書いた人

塩田純一郎

塩田純一郎

首都圏で5年間犬猫を中心とした診療に携わりました。
その後は病気のメカニズムや細胞たちの反応、薬の作用について勉強しています。
日常の身近な疑問や病気のメカニズムについて、わかりやすくお話しできればいいなと思っています。
よろしくお願いします。

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