最近急に痩せてきた?ペットの体重減少で疑うべき病気

2023/02/28

最近急に痩せてきた?ペットの体重減少で疑うべき病気

食欲がなくなり体重が減る病気

食欲が低下・廃絶する病気は多くありますが、ここでは代表的なものを紹介します。

・慢性腎臓病
まず最も多いと言っても過言ではない病気には「慢性腎臓病」が挙げられます。
加齢により生じる病気であり、症状の進行に伴って食欲が減退します。
また、全身の脱水や老化による筋肉量、栄養吸収率の低下によっても体重が大きく減少してしまいます。
腎臓病はネコちゃんに多い疾患ですが、ワンちゃんにも起きるためいずれにしても注意が必要な病気です。

・口腔内疾患
「口腔内疾患」は食事を摂りづらくなるために食欲が減退してしまいます。
口は食べ物を摂取するために一番使う場所のため、さまざまな原因で食欲減退の原因になります。

ワンちゃんに多い口腔内疾患の代表は「歯周病」です。
実は2歳以上のワンちゃんにはすでになんらかの歯周病の兆候が見られるようになっているとも言われており、
年齢が上がるにつれてより重度の歯周炎・歯肉炎から歯根膿瘍という状態にまで悪化していきます。

ネコちゃんも同様に「口内炎」を持っていることが多く、
特に小さい時にネコヘルペスウイルスやネコカリシウイルスを持っているとより歯肉炎になりやすく程度も強くなってきます。

そのほか口腔内に腫瘍を形成している場合にも食欲の減退が見られます。
特にネコちゃんの扁平上皮癌をはじめとした腫瘍は舌の根本に形成されることもあるため、ぱっと見では気づかないことも多く注意が必要です。

食欲はあるのに体重が減る病気

食欲はあるのに体重が減る病気

・寄生虫症
「寄生虫症」は主に子犬の時に体重が減少する病気の代表です。
寄生虫にも多くの種類があり回虫・鞭虫と呼ばれる線虫の仲間、瓜実条虫・マンソン裂頭条虫などの条虫の仲間をはじめ、
さらに小さいコクシジウムやジアルジアなどの感染によって消化・吸収不全が発生します。

病気の初期では食欲はあるものの体重が減少していき、症状が強くなってくるに従って食欲が減少していきます。
線虫症は定期的な予防的な駆虫薬の投与で対応できますが、条虫や原虫に関してはそれとはまた別の薬の投与が必要になるため、怪しいと感じたら病院での糞便検査を受けましょう。

・糖尿病
「糖尿病」も食欲が維持されながら体重が減少する病気です。
インスリンの不足によって本来細胞内に取り込まれるはずのエネルギー(糖分)がうまく利用できなくなってしまいます。
そのためせっかく食べたエネルギーを身体が利用することができずに痩せていきますが、
インスリンを投与することで再びエネルギーを利用できるようになり、体重も戻ってきます。

・甲状腺機能亢進症
「甲状腺機能亢進症」はネコちゃんのエネルギー消費を上げてしまうホルモンの病気です。
エネルギー消費を促進する甲状腺ホルモンが過剰に出てしまうために全身の代謝が良くなり、摂取した以上のエネルギーが使用されていきます。

この病気になると落ち着かなくなって常にソワソワしたり攻撃的になったりといった行動・性格の変化が出てきます。
年齢が上がるとともに発生する病気のため、高齢のネコちゃんの行動が変わってきた時には健康診断などをうまく使ってチェックしましょう。

・慢性胃腸炎
「慢性胃腸炎」は消化した食物から栄養素をうまく吸収できなくなる病気のため、体重減少の原因になります。
これは非常に軽度な胃腸炎が長期間続くことで、食欲低下などを伴わない胃腸炎を起こすことを特徴とします。

症状も体重減少の他には軽度の嘔吐や下痢にとどまるため見逃してしまいがち。
抗炎症治療や免疫の調整、食事の変更や体質の改善などといった長期の治療が必要な場合もあるため、根気のいる疾患です。

そのほか、単純な老化でも筋肉量の減少や食欲の低下などによる体重の減少が起きます。
ダイエットをしていないのに体重が急激に落ちてしまう時には、今回解説した病気にかかわらず、何らかの病気が隠れている可能性があります。

定期的な体重測定や身体検査で見つけられる病気も多くあるため、1ヶ月に1回程度のチェックと合わせて、
食べている量が多いのに体重が増えない・減るといったことがないかどうか注意を払ってあげましょう。

ペットの体重が減っていたら要注意かも!?

冬は寒さのせいで活動量が少なくなるため、日常的な消費カロリーが減ってしまいがち。
そんな冬なのになぜか体重が減ってしまうときには、病気が隠れているなんてことも。

今回は体重の減少がきっかけで見つかりやすい病気をご紹介します。
自宅で体重が測れない子などは定期的に病院に行って測定しましょう。

ペットの体重が減る原因はカロリーの摂取不足かカロリー消費量の増加。
多くの場合はカロリー摂取量が減少することで体重が減っていきます。

単純に食べている量が減っている時は気が付きやすいですが、食べる量が変わっていなくても、
体内に吸収できる量や体内で利用できるエネルギー量が減少することでも体重は減ってしまいます。

病気 獣医師 いぬ ねこ

おすすめのペットグッズ

この記事を書いた人

塩田純一郎

塩田純一郎

首都圏で5年間犬猫を中心とした診療に携わりました。
その後は病気のメカニズムや細胞たちの反応、薬の作用について勉強しています。
日常の身近な疑問や病気のメカニズムについて、わかりやすくお話しできればいいなと思っています。
よろしくお願いします。

この人の書いた記事を見る

\SNSでシェアする/

アイドラペットTOPへ戻る