三毛猫の謎をついに解明!毛色を決める遺伝子を発見
2025/06/16

三毛猫の謎をついに解明!
三毛猫の特徴的な毛色パターンを生み出す仕組みが、ついに科学で解明されました。
九州大学の佐々木裕之特別主幹教授らの研究チームが、猫の毛色に影響を与える遺伝子を特定し、5月15日付の米科学誌『カレント・バイオロジー』電子版に発表。
ネコ好きだけでなく研究者の間でも話題になっています。
三毛猫のオレンジ(赤茶)と黒の毛色を決定づける鍵は、性染色体Xに存在する「ARHGAP36」という遺伝子。
この遺伝子の一部に約5000塩基分の欠失があると、オレンジ色素「フェオメラニン」が合成され、欠失がない場合は黒色素「ユーメラニン」が作られます。
この違いにより、猫の体の部位によって異なる毛色が生じる仕組みが明らかになったのです。
実は約120年前から三毛猫がほとんど雌であること、色の違いが性染色体Xに関係していることは知られていました。
また、哺乳類の雌が持つ2本のX染色体のうち1本は不活性化され、もう1本だけが働くという現象も、約60年前に解明されています。
しかし、どの遺伝子が毛色の決定に直接関与しているかは、長年不明のままでした。
この難問に挑んだ佐々木教授は、自身も犬猫好きということもあり、「どうしてもこの謎を放っておけなかった」と熱く語っています。
2022年から2023年にかけてはクラウドファンディングも実施し、約600人から1000万円を超える支援を集めました。
なお、今回特定された「ARHGAP36」遺伝子については、米スタンフォード大学の研究チームも同時に発表しており、信頼性の高い成果と見られています。
国内外の協力で判明した「色のスイッチ」

この研究には、九州大学に加え、国立遺伝学研究所、麻布大学、近畿大学などが参加。福岡市内の動物病院の協力を得て多様な毛色を持つ猫のDNAを採取・解析しました。
また、米ミズーリ大学が公開しているDNAデータベースも活用されました。
解析の結果、「ARHGAP36」に見られる配列の欠失の有無が、毛色を左右していることが突き止められました。
オレンジと黒が混じるサビ猫も、この色素の切り替えの仕組みが共通しているそうです。
一方、茶トラ猫は雄が多く見られますが、これはXとYの性染色体を持ち、X染色体上にこの遺伝子の欠失があるため、オレンジ色が優勢になるためです。
また、まれに存在する雄の三毛猫については、性染色体がX2本+Y1本の合計3本多く、染色体異常が背景にあることも確認されています。
なお、白い毛の原因は別の遺伝子に由来し、今回の仕組みとは異なる経路なのだとか。
猫の毛色を決めていたDNA。ブラッシングをする時に「ああ、XとYの染色体がねえ…」と考えながらやると、頭が良くなった気がするかもしれません。
猫の起源と今後の研究

猫の祖先は中東のリビアヤマネコとされ、約1万年前には人間に飼われるようになったと考えられています。
リビアヤマネコの姿は、現代のキジトラ猫に近く、毛の1本ずつに黒と茶の縞模様があるのが特徴です。
今回、古代エジプトの猫のミイラや壁画などを調べることで、「ARHGAP36」遺伝子に欠失が生じた時期や地域の手がかりが得られる可能性があると期待しています。
120年越しにたどり着いた発見は、猫という身近な動物の魅力を一層深めるものであり、同時に遺伝学の世界に新たな光を投げかけています。
今後のさらなる研究にも注目が集まりそうですね!
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この記事を書いた人

大竹将義
1983年生まれ。放送作家。
小学生の時、魚屋さんから犬を譲り受けて暮らしていた元愛犬家。
名刺には、依頼主への忠誠を誓うという意味から、お腹を見せて寝転がるボストンテリアのイラストを使用。
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