英国政府がコロナ禍で急増するペットの誘拐を新たな刑事犯罪に
2021/10/07
コロナ禍で増えたペットの事件
世界的に猛威を振るい続ける新型コロナウイルス。
ワクチンの接種率が上昇する一方、変異株が登場し、収束するにはまだまだ時間がかかりそうですね。
そうした中、イギリスではコロナ禍でペットの誘拐が増加しているというのです。
コロナ禍で人気犬種の価格が大幅上昇
イギリスの政府関係者や警察、検察、地方自治体などで構成されるタスクフォース(組織)が、動物慈善団体「ドッグ・トラスト」のデータをもとに、イギリスで人気のある5犬種の価格が、最初のロックダウンの最中に大幅上昇したと報告。
犬種の中には、元値より89%も高騰したものもありました。
そんなペット需要の増加を受けて、窃盗団にとってペット、特に犬が魅力的な存在になったとタスクフォースは指摘。
イングランドでは、最初のロックダウンが始まった2020年3月〜8月までの間に「子犬を買う」というキーワードでGoogle検索をした人が160%以上も増えたのだとか。
ペット人気の高まりと共に、犯罪件数も増えていったイギリス。
そこでイングランド政府が愛犬家のために立ち上がりました。
ペットの誘拐を新たな刑事犯罪として定める方針を明らかにしたのです。
これは、ロックダウン中の事件増加に対処するために設置されたペット盗難タスクフォースに盛り込まれたもの。
新たな法律を作ることで、ペットが盗まれたことによる飼い主の精神的苦痛を認めるのが狙いです。
誘拐を防ぐためにマイクロチップを活用
タスクフォースはペットの盗難を防ぐために様々な提言をしています。
例えば、迷子や盗難に遭った犬を追跡するために、マイクロチップの様々なデータベースへのアクセスを容易にし、ペットの盗難に関するデータ収集・記録を改善。
飼い主が飼い犬を警察に登録する際、連絡先やマイクロチップ情報を登録できるようにすることも検討しています。
今回の提案が実現すれば窃盗犯がペットを誘拐しても販売することが難しくなるほか、警察が犯人を逮捕しやすくなります。
イギリスのプリティ・パテル内相も「ペットの誘拐を新たな犯罪行為にすれば、動物が単なる所有物ではないということを認め、こうした犯罪を犯す忌々しい人物を裁くための新たな手段を警察に提供することになる」と話しています。
「忌々しい人物を裁くため」という言葉に、パテル内相のペットへの愛情が垣間見えますね。
イギリスの王立動物虐待防止協会は、ペットの誘拐という犯罪の重大性を認めるものであると評価。
「裁判所がペット泥棒に対してより厳しい判決を下すようになることを期待している」と述べました。
マイクロチップのデータベースを簡素化することは、ペットの窃盗や動物福祉の問題だけでなく、無責任なペットの飼い方にも警鐘を鳴らすとしています。
不幸なペットを生みださないための抑止力としても期待できますね。
犬のDNAのデータベース化は世界初の試み
ペットの盗難について警察が犬のDNAデータベースの構築に乗り出すという話もあります。
イングランド西部のグロスターシャーの警察は、犬固有の遺伝子マーカーのデータを保存。
ペットの犬の盗難届を調査して、飼い主の元に戻す取り組みを発表しました。
警察としては世界初の試みだといいます。
犬の口から綿棒で採取したDNAを外部のデータベースに保存し、そのデータベースにはイギリス全土の警察がアクセス可能で、迷子の犬か盗まれた犬かを判断できます。
グロスターシャー警察の鑑識課は「人の特定に使用するのと同じ手順で、犬のDNA情報を検索できるデータベースとして機能する」と説明しています。
ペットを守るため、愛犬家を守るために提案されたイングランドの新たな刑法。
導入される日は近そうですが、飼い主としても誘拐という犯罪行為に巻き込まれないために、日々警戒を怠らないことが必要ですね。
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この記事を書いた人
大竹将義
1983年生まれ。放送作家。
小学生の時、魚屋さんから犬を譲り受けて暮らしていた元愛犬家。
名刺には、依頼主への忠誠を誓うという意味から、お腹を見せて寝転がるボストンテリアのイラストを使用。
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