外耳炎悪化で長引くことも 知っておきたい犬の中耳炎と治療法

2023/09/07

外耳炎悪化で長引くことも 知っておきたい犬の中耳炎と治療法

中耳炎とは

耳は外側から外耳→鼓膜→中耳→内耳という構造になっています。

外耳と中耳の間に鼓膜があり、しっかりと保護されているので、
外耳炎があってもすぐ中耳炎になることはありません。

外耳炎が悪化し、長期間続くことで外耳より奥にある鼓膜が損傷することによって、
はじめて中耳にも炎症が起こります。

一度中耳炎が起きると、外耳炎も治りにくくなり、
持続する原因になると報告されています。

外耳炎がない犬でも、腫瘍や耳道の構造的な異常から中耳炎を起こすこともあります。

中耳炎の症状


・頭を振る
・頚部周辺の痛み
・斜頸(しゃけい)
・耳が聞こえなくなる
・ホルネル症候群(瞼が垂れ下がる、縮瞳、瞬膜が出てしまう、眼の落ちくぼみなど)
・顔面神経麻痺(瞬きができない、口をうまく動かせないなど)

中耳炎の診断


・全身麻酔下でのオトスコープ(耳の内視鏡)
・鼓膜の損傷や構造的な異常の確認
・中耳内の分泌物の確認、分泌物の細菌培養検査

画像検査


・レントゲン検査
炎症による耳道や鼓室胞の骨の破壊や石灰化の有無で診断
・CT検査
レントゲン同様、耳道周辺の骨の破壊や石灰化から診断
・MRI検査
耳道内の腫瘍や分泌物の検出により診断

中耳炎の治療

中耳炎の治療

・中耳の洗浄
全身麻酔下でオトスコープ(耳の内視鏡)を使って外耳、鼓膜、中耳の確認をして中耳炎があるかどうかを判断し、検査と治療を進めます。

治療としては、鼓膜を切開し中耳も含めて耳道を洗浄することで中耳の感染を抑えます。

また、洗浄した際に回収した分泌物の細菌培養検査と抗生剤感受性検査をすることで、
中耳炎の原因菌を特定し効果のある抗生剤を選択でき、今後の内科治療に活用します。

一度鼓膜を切開しても1ヶ月程度で元に戻るとされています。

・抗生剤の投与
細菌培養検査と抗生剤感受性検査で効果があることが分かった抗生剤を投与し、中耳炎の原因菌を除去します。

・腫瘍などの除去
もし中耳に腫瘍があった場合、外科的に切除が必要になることがあります。

中耳炎は早めの対処を

中耳炎は検査や治療が長期化、難航することもあります。
おうちのワンちゃんに気になる症状があったら、早めにかかりつけの病院に行ってくださいね。

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この記事を書いた人

赤松愛

赤松愛

酪農学園大学卒業。
今年で小動物臨床経験7年目。
現在は千葉県で犬猫、小動物の一般診療に従事しています。
猫とフェレットとクォッカが大好きです。

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