航空機のペット同乗問題について考える

2024/01/19

航空機のペット同乗問題について考える

航空機のペット同乗問題について考える

2024年1月2日に、羽田空港で新千歳空港発羽田行きのJAL516便と海上保安庁の航空機が衝突し機体が炎上する事故が発生しました。

亡くなられた5名の海上保安庁の職員の方の、ご冥福をお祈りするとともに、
飛行機事故に遭遇された方々には心からお見舞い申し上げます。

議論が巻き起こった航空機のペットの扱い

衝突した日航機にはペットの預かりが2件(2匹)あったようで、
JALは「残念ながら救出ができませんでした。お悔やみを申し上げます」と、謝罪の言葉を述べています。

日本の航空会社の多くは犬や猫などのペットは『受託手荷物』扱い。
専用のクレートに入れて預ける決まりになっています。

JALでは盲導犬や介助犬を除いて、
預けられたペットは室温・湿度が客室とほぼ同様の貨物室で輸送されるとの事です。

スターフライヤーは機内のペット同伴開始

去年3月下旬には、航空会社『スターフライヤー』が機内にペットを同伴できるサービス
機内にペットを同伴できるサービス
をスタート。
今年の1月15日からは、国内線全路線・全便に拡大しました。

しかし、注意書きには、
「緊急時の酸素サービスはペットにはご利用頂けません。また、脱出の際にはペットは機内に置いて行かなくてはなりません。
In case of emergency, oxygen service will not be available for pets. In addition, pets must be left on board when evacuating.」
と書いてあるのです。

・ぺットを機内に持ち込む際の遵守事項
(https://www.starflyer.jp/checkin/pet/flywithpet/pdf/conditions_2312.pdf)

つまり、ペットを同伴する事は出来ても、緊急時に脱出する際はペットを機内に置いていかなければなりません。

仮にペットと一緒に脱出しようとしたら

仮にペットと一緒に脱出しようとしたら

例えば、ペットと同伴している乗客がケージを持って緊急脱出ができたとしても、
機外に脱出するシューター(滑り台)が破損し、
後続の乗客や乗員が逃げられなくなる可能性もあるようです。(上の棚の手荷物を持って、乗客が避難できない理由の1つ)

だったら、ペット同伴客には別のシューターを使えばいいじゃないかと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、
今回の事故では炎の影響で8カ所ある非常口のうち、3カ所しか使えませんでしたので、現実的ではないのかもしれません。

また世界最大のオンライン署名サイト「change.org」では今回の事故を受けて、
「飛行機のペット貨物室積み込みを禁止しましょう」というタイトルで、署名が1月2日より始まっています。

海外での航空機ペット同伴事情

海外での航空機ペット同伴事情

海外ではペットと飼い主が客室で過ごすことが可能な航空会社もあります。
米系大手のアメリカン航空やユナイテッド航空、デルタ航空、欧州ではエールフランス航空やルフトハンザドイツ航空など。

ちなみに、中東は富裕層を中心に鷹狩りが盛んで、鷹狩りに使われるハヤブサの同伴を認める航空会社もあると聞きます。

その一方で、動物に対するアレルギーがある方や、臭いが苦手な方など、他の乗客への配慮が必要になってきます。

ペットの同伴搭乗は解決策にならない

仮に今回の事故機でペットの同伴搭乗が認められていたとしても、
脱出時には機内に残さねばならず、結果としては同じだったと思われます。

飛行機にはアメリカ連邦航空局が定めた商用機の安全基準のひとつ「90秒ルール」というものがあります。

「機内の全非常用脱出口の半分以下を使って、事故発生から90秒以内に乗客・乗員全員が脱出できるような構造にする事」
と、ルール化されているのです。

スムーズな脱出の為には、保安要員としての客室乗務員の指示に従い、手荷物を諦めて、避難しなくてはなりません。
その荷物がパスポートや家の鍵、貴重品だとしてもです。

実際、今回の日航機の事故でも客室乗務員の方が指示をしていたのは、

・煙を吸わないように姿勢を低く保つ事。
・上の棚の荷物を諦める事。(手荷物を持たずに避難する事)でした。

仮にペットが同伴出来ても、「荷物」という扱いのままでは、どうしようも出来ないのです。

私のような素人の知識で、何か方向性を打ち出す事は出来ませんが、動物愛護の観点から、
ペット=荷物という認識については、考えを改める必要があるかもしれません。

獣医師 アイドラペット いぬ ねこ

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この記事を書いた人

小谷亮介

小谷亮介

1976年生まれ。放送作家。
5歳の時から40年以上、犬と暮らす自称「愛犬家」。
令和元年の秋に千葉などを襲った台風の前日に次男が子猫を拾い、現在は犬と猫(仲悪い!)との生活を送る。
放送作家としてはTBSラジオ「伊集院光とらじおと」、ニッポン放送「飯田浩司のOK!Cozy up!」などを担当。

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