犬が耳を掻く仕草は炎症のサイン 夏の湿気と外耳炎に注意

2022/08/04

犬が耳を掻く仕草は炎症のサイン 夏の湿気と外耳炎に注意

外耳炎になりやすい子には夏は辛い時期

記録的な猛暑になりそうな今年の夏。気温が上がるとそれに伴って湿度も上がり、外耳炎になりやすい子には辛い時期が始まります。

外耳炎は耳に起こる炎症で、なりやすい子は定期的に発症してしまうこともある病気です。今回はこの外耳炎について簡単な解説と予防法について解説していきます。

外耳炎の炎症はどこで起きているの?

耳は構造的に外耳、中耳、内耳の3つのお部屋で構成されています。
耳介(耳のひだ)から鼓膜までを外耳、蝸牛(側頭骨の空洞)と呼ばれる音の振動を電気刺激に変えるところを内耳、その間の空間で耳小骨と呼ばれる骨がある空間を中耳と言います。

ヒトは中耳炎を起こすことが多いですね。中耳には耳管という管があり鼻に続いています。風邪をひいたり鼻に水が入ったりすることで耳管の中に細菌などの感染源が入ることで炎症を起こします。

対してワンちゃんの場合は外耳炎になる頻度が圧倒的に高く、その原因も様々です。

外耳炎はミミヒゼンダニ(通称ミミダニ)やマラセチア(真菌)、アトピー体質によっても起こります。
それぞれの原因に対応した治療を行なっていきますが、繰り返して慢性化している場合は難治性になっていることも。そうならないためにも早めの処置と予防が重要になってきます。

耳を痒がるのは外耳炎のサイン

耳を痒がるのは外耳炎のサイン

外耳炎の症状の一つに耳の掻痒感があります。外耳炎になると耳の中で炎症が起き、ムズムズして気になってしまうのです。強い炎症が起きてくると夜も眠っていられないくらい掻き続けてしまうことも。

これは強いストレスになるだけではなく、耳の後ろ側の皮膚や耳介を爪で引っ掻いてしまい掻き壊しになる場合や、毛足の長い子は毛玉を作ってしまい、より強い皮膚炎の原因にもなります。

耳介に掻く刺激が強く入ると、耳の中で出血を起こす耳血腫という状態に移行することもありますので、そうなってしまう前に早めに病院を受診して炎症の程度を確認しましょう。

生理的に、もしくは癖で耳を掻いている子もいるので、普段からどの程度の頻度で耳を気にしているのか、何気なく気を配ってあげられるといいですね。たれ耳の子などは特に、時々耳をめくって皮膚に赤みがないか、赤黒い耳垢が出ていないか、耳垢で耳道が塞がっていないかなど、注意してみてあげてください。

病院の獣医さんだけではなく、トリマーさんも強い味方。定期的にトリミングサロンに通っている子はカットの中で変化に気づいてくれることも多くあります。

普段と違うぞ、と感じたら一度病院でチェックを受けましょう。

病院での治療と家でのケア

病院を受診し、外耳炎と診断されたら院内で耳を洗浄してもらいます。
また、程度に合わせて抗炎症薬を投与してもらうなどが治療の主な流れとなります。

耳鏡で耳の内部をチェックして、どの程度の炎症なのか、炎症の主体は耳の中なのか、耳介なのかを判断して薬を選択してくれるでしょう。

また、その子の性格に合わせて自宅で点耳治療が難しい場合などは、投与後ある程度の期間作用のある薬を選択してくれる事もあります。生活スタイルに合った治療を相談して選択しましょう。

外耳炎を予防するには

外耳炎を予防するには

一度罹患するとなかなかしつこい外耳炎。予防するには耳道内の環境を清浄に保つことが必要です。定期的な耳のチェックはもちろん、体質によって耳垢のでやすさが異なるのでその子に合わせた頻度で耳の掃除をしましょう。

耳掃除は動物病院で実施できるほか、トリミングサロンでも行えます。ダックスやキャバリアなどの垂れ耳の子やトイプードル・シー・ズーなど耳道内の毛が多い犬種は特に耳垢が毛に絡まって炎症の原因になってしまうので、特に細かく見て必要に応じて耳毛のケアを。

垂れ耳の子は耳の中が蒸れやすく細菌が増殖しやすいだけではなく、立ち耳の子と比べて耳自体を観察する頻度が減ってしまいます。ふとした時にでも耳をぺらっとめくってチェックしてあげましょう。

今回は夏に増える外耳炎について解説しました。シー・ズーや柴犬のようにアトピーや感染症、体質などによって外耳炎を起こしやすい犬種もいます。手で掻いたり耳を擦り付けたりするなどのシグナルに注意してあげてくださいね。

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この記事を書いた人

塩田純一郎

塩田純一郎

首都圏で5年間犬猫を中心とした診療に携わりました。
その後は病気のメカニズムや細胞たちの反応、薬の作用について勉強しています。
日常の身近な疑問や病気のメカニズムについて、わかりやすくお話しできればいいなと思っています。
よろしくお願いします。

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