ハチやムカデに刺されたら!?ワンちゃんの虫刺され対処法
2022/08/25
気を付けたいペットの虫刺され
新型コロナウイルスが猛威をふるっていますが、そのせいもあって今年は混み合った都心よりも少し郊外でアウトドアを楽しむ方が増えているといいます。
アウトドア派の人もインドア派の人も、ペットと一緒に楽しめるアクティビティは楽しいものですよね。
ですが、普段なかなか行かない山や川へ出かけるときに注意して欲しいのがペットの虫刺され。
蚊に刺されて起きるフィラリア症はみなさん予防していると思いますが、それ以外にも刺されると危険な虫はたくさんおり、これらはヒトもワンちゃんも同じように注意が必要です。
今回はどんな虫に注意すべきか、刺された時によくみられる症状と簡単な対処法について解説していきたいと思います。
飛んでくる虫。ハチ・アブ・ブヨ
ハチ
虫刺されと聞いて、蚊の次にポピュラーなものはハチではないでしょか。ハチにも大きくグループがあり、攻撃方法によってミツバチかそれ以外のハチかに大きく分けることができます。その違いは刺された後にそのハチが死んでしまうかどうか。
ミツバチは針の先に“返し”がついており、刺した場所に針が残り続けます。そしてその毒針はミツバチの神経とつながっており、針だけを残してミツバチは死んでしまうのです。
この残った毒針をそのまま放置しておくと毒液が体内に入っていくだけでなく、異物として炎症の原因になるため、ピンセットなどで抜く必要があります。
ワンちゃんの場合はなかなか大人しく抜かせてくれない事が多いため、病院で処置してもらうといいでしょう。また、刺したミツバチはそのまま死んでしまいますが、その時に「敵が近くにいるぞ」という信号のフェロモンを発します。その場にいるとさらにミツバチが集まってくる事があるので注意しましょう。
対してアシナガバチやスズメバチなどのハチは相手を一度刺しても死なないため、複数箇所刺されることがあります。複数回刺されることでより重篤なアナフィラキシーを起こす可能性が出てくるため、その場合も動物病院で治療を受けましょう。
いずれのハチの場合もハチを刺激せずに距離を取る事が重要になります。ハチが攻撃してくるのは基本的に防御をするため。近くに蜂の巣がある可能性が高いので、そういった意味でもその場を離れることが大切です。
ブヨ(ブユ)
ブヨも刺されることに気をつけなければならない虫です。ブヨは数ミリ程度の体長で、草むらの茂みなどから飛んできて蚊のように吸血をしますが、蚊とは異なり針状の口ではなく鋸状の口で皮膚を破るため傷も大きくなります。
また、唾液に痛み止めの成分が含まれており、噛まれてから数時間から半日も経ってから気づくこともあります。さらにはブヨの唾液成分によって血が固まりにくくなるため、噛まれたことがなかなかわからないことも。
唾液による強いアレルギーを起こす事もあり、痛みや痒みが続く場合にはステロイドなどによる消炎治療が必要になります。
アブ
アブは体長が1〜3cm程度の吸血性の虫で、ハチとは異なり食事の手段として吸血をするために刺してきます。そのため毒針ではなく、とがった口で皮膚を破って吸血します。
アブはハチやブヨと異なり、毒液を分泌しないため、刺された瞬間に痛みが走ります。毒液によるアレルギー性の反応がない代わりに強い炎症が発生するため、適切に処置をしないと強い腫れが起きて数週間単位で炎症が続く場合もあります。
ハチ、ブヨ、アブの刺し傷は皮膚の下での炎症が主体となり、血流がよくなることで毒性成分や炎症が周囲に波及していきます。そのため傷口を掻いたり叩いたりすると炎症が強くなってしまうのです。
病院に行く前にできる応急処置としては冷たい流水で冷やしながら傷口を洗浄することで、炎症の程度を軽減できる可能性があります。
地面にいる虫。ムカデ・ヤスデ
ムカデ
ムカデは毒液を分泌する牙を持った虫で、森や林の石の下や落ち葉の間に生息しており、家屋の中にまで現れる可能性がある虫です。積極的に人間を攻撃してくることはありませんが、命の危機を感じると身を守るために攻撃してきます。
ムカデの持つ毒はヒスタミンなどの成分を多く含むため、強い炎症・アレルギー反応を起こします。局所的な痛みだけではなく、全身性のアナフィラキシー症状に波及することもあり注意が必要です。
普段行かない山道などを散歩中に、ワンちゃんがムカデを見つけてちょっかいを出し、咬まれてしまう、なんてことも。
ムカデの毒液は口の大きな牙の根元に分泌腺があり、噛み付くと同時に分泌します。毒は皮膚表面から傷口に入っていくため、洗浄することが重要になります。またハチなどの毒と異なり、ムカデの毒は熱に弱い性質を持つため、お湯で洗浄することで症状を軽減できます。
熱すぎるお湯を使って火傷をしないように注意して応急処置をしましょう。全身性の症状に移行することがあるため、病院で血圧のチェックなどを受けてください。
ヤスデ
ムカデによく似た虫にヤスデがいます。ムカデとの違いは、少し丸みを帯びた身体をしているところ。ムカデと同様に落ち葉や石の下、家屋の軒下などに生息しています。
この虫はいわゆる毒液は出しませんが、体表から出す臭いのある体液が、ワンちゃんの体質によってはかぶれの原因になることがあります。
もしワンちゃんがヤスデに触れてしまったら、触っていたところを洗ってあげましょう。一般的に炎症の程度はムカデほど強くはありませんが、似たような生活域を持つので警戒するに越したことはないでしょう。
以上、今回は虫刺されとそれによる症状についてまとめてみました。
日常的に目にする虫もいれば、人によっては馴染みがあまりない虫もいます。ワンちゃんだけでなく、私たちも咬まれない、刺されないように注意しながら、いざ刺されてしまった場合にはどの虫に刺されたのか、どのような応急処置や対処が有効なのかを覚えておくと、いざという時に焦らなくて済むかもしれませんね。
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この記事を書いた人
塩田純一郎
首都圏で5年間犬猫を中心とした診療に携わりました。
その後は病気のメカニズムや細胞たちの反応、薬の作用について勉強しています。
日常の身近な疑問や病気のメカニズムについて、わかりやすくお話しできればいいなと思っています。
よろしくお願いします。
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