秋は第二次ベビーブーム!子猫を拾ったらどうしよう!?

2021/09/28

秋は第二次ベビーブーム!子猫を拾ったらどうしよう!?

秋に増える意外な相談

あんなに暑かった夏もどこへやら。朝は少し肌寒く感じるようになってきましたね。
ここ数年で季節の移り変わりを目まぐるしく感じるようになったのは私だけでしょうか。

秋の動物病院で増えてくるのが「子猫を拾った」という相談。
こんな時期に?と思う方もいるかも知れませんが、猫の出産シーズンは春だけじゃないんです。
いざ赤ちゃん猫を目の前にしたら、なにをしてあげればいいか分からない!
そんな事態にならないために今回は簡単な赤ちゃん猫のお世話について綴っていきます。

子猫を見つけた!最初に考えることは?

子猫を見つけたらまず考えないといけないことは、近くに親猫がいないか、です。
母猫が目を離した隙にヨチヨチ歩きで茂みから道端に迷い込んでしまっている、といった可能性もゼロではなく、人間の匂いがついてしまった子猫は、お母さん猫が世話をしなくなることもあります。

つまり一番大切で、そして難しい判断は「その子猫は本当に人の助けが必要なのかどうか」ということ。
あまりに小さいとそのまま衰弱してしまいますし、カラスに襲われてしまう危険もあります。
実際に手を出すかどうか、その見極めが最も重要と言っても過言ではないでしょう。

子猫を拾ったら?週齢別お世話ポイント

とはいえ、赤ちゃん猫を目の前にして何もしないほうが難しいですよね。

赤ちゃん猫を拾ったという相談は一年で数回はあります。
猫の赤ちゃんはかなり未熟な状態で生まれ、4週齢頃まではこまめなお世話が一日中必要。
その後は成長に合わせてケアの内容も変化していきます。

ここでは拾った子の週齢の見分け方と、それに合わせたケアのやり方を簡単にまとめます。
特に食事と排泄が自力でできない間はとっても大変で、覚悟が必要になるのでそのつもりで。

【授乳期】

0~1週齢:目が開いておらず、歯は生えていない

この週齢の子は本当に生まれたばかり。
自力で移動することはできず、おしっこやうんちも手伝いが必要です。
本来であればお母さんがなめて刺激を与えますが、その代わりに定期的に濡れタオルやティッシュで刺激を与えて出してあげなければいけません。
コツはこすったり押したりするのではなく、優しくぽんぽんとタッチするような感じで刺激するとうまく出してくれます。

ご飯は子猫用のミルクを38℃ほどにして哺乳瓶で与えてあげてください。
子猫用のミルクはホームセンターなどでも入手できます。
注意点としては熱すぎないようにすることと、うつ伏せで飲ませること。
仰向けでの哺乳は誤嚥の危険があります。

哺乳瓶もしっかり洗って清潔に。
小さく体力がないので、少しの体調不良がよくない結果を招きかねません。
また、牛乳は成分が母乳と異なるため、お腹を壊す原因になりこちらもよくないです。
哺乳は2~3時間に1回を目安に行いましょう。
夜も休んでいられません。


1~2週齢:少し目が開くが歯はまだ生えていない

基本的なお世話内容は変わりません。
動きが出てきて前足ですこし這い回り始めます。
この時期も排泄は手伝いが必要。
まぶたも少し開き始めますがまだ視力はないのでミルクをあげる際はしっかり口元に哺乳瓶を近づけてあげましょう。


2~3週齢:ふらつきながらも歩行し始める

このころになってくるとまだ視力は弱いですが、なんとなく周りの状況が見えてきます。
人間もある程度シルエットで認識できるようになってきて、ご飯時などは顔を向けてくれるように。
複数匹で拾われた子たちはじゃれ合い遊びを始めます。
ふらふらと歩き始めますが、まだおぼつかないので周りにはタオルを敷いてクッションにしておきましょう。


3~4週齢:自力で排泄ができるように!前歯と犬歯が生え始める

生まれて約1ヶ月でようやく自力での排泄ができるようになります。
少しずつ刺激する頻度を減らして、排泄しているかどうかをまめにチェックしましょう。
問題なく自力排泄ができるようになる頃にはかなり歩けるようになるのでトイレの準備を。
最初に少し匂いを付けてあげると自然と覚えてくれます。
哺乳瓶も卒業してお皿からミルクをなめることができるようになってきます。

【離乳期】

4~5週齢:目の色が変わってきて、奥歯も生え始める

今まで青っぽかった目の色が本来の大人猫の色に変わってきます。
ここまでくれば視界良好。
実はこの時期くらいまではあまり音も聞こえていませんでしたが、聴覚も発達して人間の声にも反応を示します。
軽い段差なら超えられるようになり、トイレもほぼ完璧。奥歯が生え始めると離乳食も食べ始めます。
離乳食から、すこしずつふやかしたドライフードで練習し、ついにはドライフードも食べられるようになります。

元気がない?それ、超々緊急事態です!!

元気がない?それ、超々緊急事態です!!

子猫は様々な状況で見つかるでしょう。
鳴いたり歩いたりしていると少し安心できますが、小さすぎる場合には体力もなく衰弱した状態で保護されることもあります。

積極的な動きがなく、触っても反応がない。
こうなってくるとかなり危険で、衰弱しているサインです。
衰弱状態で気をつけなければならない3大ポイントは「低体温・脱水・低血糖」で、これらは命に直結します。

病院に向かうのはもちろんですが、衰弱している場合には動物病院に連れていく間に症状が進行してしまうことも。
身体が小さいため熱・水・栄養いずれもあまり余裕がないんですね。
それらに対して応急的にできる処置をまとめますので頭の片隅に入れておいてください。

【低体温】

文字通り体温が下がりすぎてしまう状態。
子猫は親猫と違い、とても体が小さいため体温がすぐに低下します。
普段なら兄弟や親猫と寄り添っているため、体温を維持できますが、1匹だけではそうはいきません。

その場ですぐ体温を測ることは難しいですが、触ってみて温かくないと、ほぼ低体温とみて間違いないでしょう。

低体温の対策はとにかく温めること。
湯たんぽやカイロ、ヒーターなどを使うと良いのですが、この際、直接子猫に触れると火傷や、脱水症状の悪化を引き起こすことがあるので注意してください。

人肌に温めたお湯を入れたペットボトルをタオルで覆って使うのが最も簡単です。

【脱水】

体内の水分量が足りない状態。
こちらも判断が難しいですが、体温をあげようとして体を温めると自然と水分が足りなくなってしまうので同時に処置してあげましょう。

方法としてはスポイトなどで1滴づつ口の真ん中に垂らしてあげましょう。
衰弱している場合には上手に飲み込む動作ができない場合もあります。
一度に大量の水をあげると誤嚥してしまう事もあるので少しずつ与えてください。
冷たい水だと体温を下げてしまうのでなるべく温めてあげましょう。

【低血糖】

血糖値は血液検査をしなければ数字がわかりませんが、赤ちゃん猫は元気な状態でも授乳期は2~3時間おきにミルクを上げる必要があります。

親とはぐれてしまっている状態ではなるべく早めにミルクもしくは砂糖水をあげたいです。
病院であればミルクもブドウ糖液もありますが、自宅でできる方法としては10ccの水に2g程度の砂糖を溶かしてあげると応急処置としては丁度いい濃度になります。

もちろん、普通の水を飲めることを確認してから飲ませる必要があります。

他にも気を付けたいこと

以上、応急処置としては緊急度の高い順番に並べました。
万が一拾ってしまった子猫の状態が悪い場合は思い出してみてください。

元気な子猫であっても野良出身の子は寄生虫(ノミやダニ、回虫などのおなかの虫)や細菌、ウイルスなどの感染性症のリスクもあり、そのなかにはヒトに移るものもあります。
一般的な身体検査や糞便検査で見つかるものもあるため、いずれにしても病院にはかかるようにしましょう。
お家にヒトの赤ちゃんや先住犬や猫がいる場合であれば2週間程度は隔離しておく必要もあります。

猫の出産は季節性があり春が最も多いですが、初秋まで出産する可能性がある動物です。
暑い夏が過ぎて気候の状況が落ち着いてくる今の時期も実は新たな生命の季節なんですね。

保護すること、されることが正しいかどうかの判断は単純にはできませんが出会いを幸せなものにするお手伝いができたらいいな、と思います。

獣医師 ねこ しつけ タメになる

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この記事を書いた人

塩田純一郎

塩田純一郎

首都圏で5年間犬猫を中心とした診療に携わりました。
その後は病気のメカニズムや細胞たちの反応、薬の作用について勉強しています。
日常の身近な疑問や病気のメカニズムについて、わかりやすくお話しできればいいなと思っています。
よろしくお願いします。

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