水を飲む量が増えてない?多飲多尿で気をつけたい病気とは

2023/02/14

水を飲む量が増えてない?多飲多尿で気をつけたい病気とは

ペットの「飲水量・尿量」について

日々の生活の中で気づいてあげられるペットの病気も多くあります。
たとえば、ペットの食欲が減ってきたら心配になりますよね。

それと同じように、もしくはそれ以上に重要で日頃から注意したいものに「飲水量・尿量」があります。
普段からペットがどの程度水を飲んでいるか、おしっこ一回の量や1日の回数はどのくらいかをなんとなく把握しておくだけでも、病気のきっかけに気づくことができるかもしれません。

今回はそんな日常から気をつけておきたい飲水量と、それにまつわる病気についてまとめていきます。

正常な飲水量・おしっこの量って?

正常な飲水量・おしっこの量って?

まずはペットの正常な飲水量・尿量を知っておきましょう。
ペットシーツに広がるおしっこのサイズ感やおしっこの回数でなんとなく把握することはできますが、
実際に量にしてみたらどれくらいなのでしょうか。

飲水量・尿量については多少の幅はあるものの、このような量が基準値とされています。
・猫の飲水量:体重1kgあたり30〜40ml
・猫の尿量:体重1kgあたり25〜50ml
・犬の飲水量:体重1kgあたり50ml
・犬の尿量:体重1kgあたり30〜40ml


これらの数値にばらつきがあるのは個体差があるからです。
それでも1日の飲水量が体重1kgあたり100mlを超えるようであれば
(5kgの子が500mlペットボトル1本分を飲む量)
明らかな多飲状態であるといえます。

飲水量をモニターする一番簡単な方法は器にいれる水の量を計測してから入れること。
重さを測るのもいいですが、なんとなくこんなもんかなぁ。
くらいの感じでモニターする場合は器に入れるときに100ccや200ccを測って入れて大体何割くらい飲んでいるかで概算します。

尿量をモニターする場合にはペットシーツの重さを計測することで計測できます。
トイレの近くに電子秤りを置いておくとスムーズに測れて良いでしょう。

どんな病気がみつかるの?

どんな病気がみつかるの?

飲水量・尿量が多くなっている状態(症状)を、多飲多尿といいます。

多飲多尿になる原因は病気によってさまざまですが、
多飲多尿で示唆される病気には早く見つけられれば見つけられるほど
重症度が低く治療の効果が得られやすいものが多くあるのです。

1・腎臓の病気
腎臓は血液を濾過して身体に不要なもの、有毒なものを尿として排泄する臓器です。
その際に捨てる水分はなるべく少なくしたいため、おしっこを濃縮して排泄します。

腎臓の機能が弱ってきている慢性腎臓病や腎臓の機能がおかしくなっているネフローゼ症候群といった病気では
不要物を排泄するためにより多くの水分を必要としてしまうため、結果的に尿量が増加します。
尿量が増えてしまうと身体が脱水傾向になるためにつられて飲水量が増加するのです。

2・ホルモンの病気
糖尿病はインスリンの分泌が低下することで血糖値が上がり、尿中に糖分が出ていってしまう病気です。
この糖分はとても強い力で水分を引っ張るため、尿中へ通常以上に水分が出ていってしまい尿量が増加します。

同じようなホルモンの病気であるクッシング症候群ではコルチゾルと呼ばれるホルモンが増加します。
このホルモンは脳に作用して飲水量を増加させます。体内に吸収する水分量が多くなることで排泄される尿量も増加します。

3・子宮蓄膿症
子宮蓄膿症は高齢の未避妊のワンちゃん、ネコちゃんで発生する病気です。
子宮内部で感染を引き起こして、細菌が増殖します。この感染によって全身に強い炎症が起きてしまい、
放置すると命を脅かす恐ろしい病気です。

感染により増殖した細菌によって尿量が増加することで多飲多尿を引き起こします。
この子宮蓄膿症は今回紹介した病気のなかでは最も緊急性の高いものになります。

今回は「多飲多尿」について紹介させていただきました。
多くの病気はゆっくり進行して治療に時間がかかるものが多いですが、
早く気づけば気づくほどコントロールが取りやすいものも多くあります。
神経質にならない程度に、日頃から様子を見てあげましょう。

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この記事を書いた人

塩田純一郎

塩田純一郎

首都圏で5年間犬猫を中心とした診療に携わりました。
その後は病気のメカニズムや細胞たちの反応、薬の作用について勉強しています。
日常の身近な疑問や病気のメカニズムについて、わかりやすくお話しできればいいなと思っています。
よろしくお願いします。

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