体調やライフステージに合わせたペットフードの選び方

2023/03/16

体調やライフステージに合わせたペットフードの選び方

ライフステージに合ったペットフード選び

ペットが毎日食べるご飯は、身体を作り上げる材料となる大切なもの。今では体質や病気に合わせて様々なものが販売されています。

ペットそれぞれの身体の状態や、ライフステージに合わせて適切な食事を選ぶことが大切になってきますが、ペットフードは目的別にいくつかの種類に分かれています。

今回はその中でも「総合栄養食」と「療法食」を前提にお話ししていきます。

総合栄養食とは主食とするために作られているペットフードで、基本的にはそれだけ食べていれば十分となるように栄養バランスが設定されています。
品種や年齢に合わせた種類が販売されているので選びやすいでしょう。

対して療法食はそれぞれの疾患に応じて意図的に栄養バランスを調整してあるため、療法食を始めるにあたっては獣医としっかり相談して決めてくださいね。

ライフステージで選ぶペットフード

ライフステージで選ぶペットフード

ワンちゃんネコちゃんは平均してヒトの6倍の早さで年齢を重ねていくと言われています。
そのライフステージが変化していくごとに少しずつ代謝、必要なカロリー量や栄養素のバランスも変わっていくのです。

【成長期】
多くのワンちゃん、ネコちゃんは生後2、3ヶ月以降でお家に来ることでしょう。身体が未熟な状態から大人の身体へと変化していく期間を成長期といいます。

この頃は身体を作るために代謝が高く、必要としているカロリーや栄養素も体重と比較してやや多めになっています。
多くの場合は生後半年〜1歳齢までの間に去勢・避妊手術を実施することになると思いますが、それまでの間は少し特別な成長期のためのフードを選ぶことをおすすめします。

【成熟期】
成犬や成猫と呼ばれる時期になると、全身で消費されるカロリー量が減ってきます。
ワンちゃんの場合、成犬になるのは小型犬で10ヶ月齢ほど。大型犬になるに従ってもう少し期間が必要ですが、1歳半くらいまでの間には完全に大人の身体が完成します。

ネコちゃんの場合は1歳を超えてきたら成猫になります。
この時期を超えてくると、今までのペットフードをそのままの量で食べ続けるとカロリーオーバーになり、肥満になってしまう可能性があります。

また、去勢・避妊手術をすることで食欲の増加と消費カロリーの減少が起きることがわかっています。
将来的な多くの病気を予防することができる手術ですが、肥満については注意が必要です。

ちなみにネコちゃんにはお腹がふわっと大きく膨らんでいる子も多いと思いますが、
これは「プライモーダルポーチ」という名前がついており、お腹に脂肪がつくこと自体は肥満や病気ではないので心配しないでくださいね。

【シニア期】
ワンちゃんもネコちゃんもだいたい7歳を超えてくるとシニアの仲間入りが始まります。この頃になると日常の運動量の減少にともなって消費カロリーが減ってきます。

また、食べ物の消化率や吸収力、皮膚や毛、筋肉などの合成力も減ってくるために全体的な代謝が変わり、必要な栄養素も変化していきます。
また関節炎や心臓病、腎臓病といった高齢になるに伴って発生率が上昇する疾患も多く出てくるため、
シニア食だけではなくそれぞれが持っている病気に対する療法食の選択肢も広がってくるステージです。

療法食の必要性と様々な病気

療法食の必要性と様々な病気

食事は身体を構成する成分を取り入れるための最も基本的な要素です。
そのため体質を変えることにも大きく貢献するので、病気の治療においても重要な因子となります。
ペットフードでコントロールできる主要な病気とそれぞれの療法食の特徴を紹介します。

【慢性腎臓病】
慢性腎臓病は高齢のワンちゃん・ネコちゃんの誰しもが関わる可能性のある疾患です。
高齢になるに従って少しずつ低下していく腎機能をケアするために、治療食ではナトリウムやリンといったミネラル成分をはじめタンパク質などが制限されています。
最近は腎臓病という大きなくくりだけではなく、病気の進行度合いに合わせた療法食なども登場してきています。

【下部尿路疾患】
尿路結石や(特にネコちゃんの)膀胱炎もフードでコントロールするメジャーな病気です。
以前は尿石の種類に合わせたフードに分かれていることも多かったのですが、最近は結晶の種類にかかわらずに対応できるものが増えてきています。
結晶の原因となるミネラルを制限していたり、水をよく飲むような工夫がされたりしていることが特徴です。
フードだけではなく、普段からの飲水量も病気のコントロールに重要になります。

【皮膚疾患】
食べ物アレルギーが原因になる皮膚疾患ではフードコントロールが特に重要になってきます。
アレルギー用のフードはその構成内容でも種類が分かれていきます。
アレルギーの原因となるタンパク質を含まないもの、珍しいタンパク質を使用したご飯やタンパク質をある程度消化した状態でフードにしてあるご飯などです。
近年、皮膚は身体の体重の2割もある重要な臓器と認識され始めています。シャンプーなどとうまく組み合わせていく必要があるでしょう。

【消化器疾患】
下痢や嘔吐といった消化器疾患も原因によってはフードコントロールが有効な場合があります。
嘔吐については消化される速度が早いご飯を食べることで嘔吐の頻度を減少させられる場合があります。
膵炎や腸疾患に対しては低脂肪食やアレルギーと同じような低アレルギー食を試してみるといいでしょう。
慢性的な下痢や排便困難については食物繊維の量を調整してあるフードで治療反応をみていきます。

獣医に気軽に相談を

今回はライフステージや病気に対するフードの特徴や役割について解説しました。
療法食については病気に合わせて獣医の指示を仰ぎながら始めていくことになります。
総合栄養食についても相談に乗ってくれると思いますので、気になることがあるときにはぜひ相談してみてくださいね。

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この記事を書いた人

塩田純一郎

塩田純一郎

首都圏で5年間犬猫を中心とした診療に携わりました。
その後は病気のメカニズムや細胞たちの反応、薬の作用について勉強しています。
日常の身近な疑問や病気のメカニズムについて、わかりやすくお話しできればいいなと思っています。
よろしくお願いします。

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