実は大切な情報が盛りだくさん!尿検査の賢い活用方法
2023.03.23

尿検査の賢い活用方法とは?
春。ワンちゃんにはフィラリアに狂犬病にと予防対策が必要な季節になりました。
フィラリア予防薬を始めるに際しては血液検査が必要になり、それに合わせて健康診断を実施している病院も多くあることでしょう。
健診結果に合わせてレントゲン検査や超音波検査などの追加検査をすることもよくあります。
ヒトが健康診断する時には血液検査・レントゲン・心電図・尿検査と色々な項目を調べていきますよね。
ワンちゃん・ネコちゃんでも同様に、多角的に検査を実施していくことで、異常を見つける確率を上げることが可能となります。
今回は血液検査以外で実施される「尿検査」について、この検査で調べる項目と、それによってわかる病気について解説していこうと思います。
自宅でわかる、見た目でわかる尿の変化

尿にはその色や見た目で見つけられる変化がいくつかあります。第一にその色と濃さです。
後の項目でも説明しますが、尿は濃縮具合で色が濃くなったり薄くなったりします。
また排泄される物質によっても変わってくるので、日常的に観察してあげると尿検査が必要かどうかを判断する材料になるかもしれません。
尿中に明らかな出血がある場合には尿色が赤やオレンジ色になったり、血餅とよばれる血液が固まったものが出てきたりすることでしょう。
また尿結晶の場合、ある程度の大きさまで育ってしまった結晶は尿の中にキラキラしたものが見えることもあるので気をつけて観察してみてください。
動物病院でできる尿検査

■尿沈殿検査
尿沈渣検査は尿の中に出てきている浮遊物を遠心力でかき集めて顕微鏡で観察する方法。
検査の中で見つけることのできる異常は尿結晶や細菌、上皮細胞といったものです。
尿結晶にはいくつかの種類があり、代表的なものにはストラバイト結晶(リン酸アンモニウムマグネシウム結晶)、シュウ酸カルシウム結晶があります。
結晶の出やすさは飲水量や尿の流れなど体質的な要素が関係してくるため、尿結晶が出た子は食事療法や飲水のコントロールなどが必要になってきます。
尿中に出てくる結晶がさらに大きくなったものが「結石」で、結石は腎臓から尿管、膀胱、尿道というように尿路(尿の通り道)のどこにでもできることがあります。
結石があることで炎症や細菌感染の原因にもなり、さらに尿管や尿道に詰まると急性腎障害という激しい症状に移行する場合があるので、
尿沈渣検査で結晶が出た場合には合わせて超音波検査をしておきましょう。
膀胱炎や膀胱腫瘍がある場合には尿沈渣の中に尿路上皮細胞が出現してきます。
この時に出てくる細胞だけでは厳密に腫瘍なのか炎症なのかを区別することはできないため、症状の出方や治療への反応性などから総合的に判断することになります。
腫瘍が疑わしい状況ではカテーテル生検のように、さらなる検査が必要になります。
■尿性状検査

尿性状の検査では尿のpH(酸性・アルカリ性の値)をはじめとして潜血反応や尿蛋白などを試験紙の色の変化を読み取ることで判定します。
尿のpHは尿結石の出来やすさを判定するものとして利用されています。
尿石のできる要因としてはこれ以外にも様々なものがありますが、
酸性になるとシュウ酸カルシウム結晶、アルカリ性になるとストラバイト結晶ができやすいと言われています。
潜血反応とは赤血球の成分を検知する検査です。
膀胱炎などによって出血がある場合には尿沈渣検査で赤血球を確認することが多くありますが、
時間が経ち赤血球が壊れてしまっている場合など、顕微鏡で見つけられない場合には潜血反応が頼りになります。
尿蛋白は腎臓の機能を評価する際に有効です。腎臓の濾過機能が低下すると尿中にタンパク質が出てきます。
また、高血圧になることでも尿中蛋白質が検出されるようになります。
尿蛋白が出てしまっている場合にはさらに精度の高いUPC(尿蛋白クレアチニン比)という値を調べたり、血圧を測定したりすることでその原因を突き止めることになります。
尿比重(尿の濃さ)も腎臓の機能を反映しており、機能が低下する事で尿の濃縮ができなくなり比重の低い尿になってしまいます。
また逆に比重が高すぎる尿はミネラル成分の濃度が上昇することで尿石を作りやすくなってしまいます。
このように尿検査だけをみてもさまざまな情報が得られます。
血液検査や画像検査だけでなく、色々な検査を上手に受けて全身のチェックをしていきましょう。
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この記事を書いた人

塩田純一郎
首都圏で5年間犬猫を中心とした診療に携わりました。
その後は病気のメカニズムや細胞たちの反応、薬の作用について勉強しています。
日常の身近な疑問や病気のメカニズムについて、わかりやすくお話しできればいいなと思っています。
よろしくお願いします。
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