気をつけよう!猫が中毒を起こす危険な観葉植物たち
2023/05/09
重篤な中毒を引き起こす植物たち
・ユリ科の植物
ユリやスズラン、チューリップ、ヒヤシンスなど、ユリ科の植物はネコちゃんに対する毒性が非常に強く、
間違って口にすると嘔吐や急性腎不全などを引き起こします。
ユリの仲間の植物は花から根まですべてが毒性をもち、飾ってあった花瓶の中の水でさえも中毒を起こしてしまうのです。
原因物質は不明で、そのため致死量などもわかっていない特に注意するべき植物です。
症状としては嘔吐や下痢といった非特異的なものから、
麻痺や神経症状、急性腎障害といった重症度が高いものまであり、入院下での点滴治療などが必要になる場合もあります。
チューリップやヒヤシンス、スズランの花粉などを吸い込むだけでも症状が出るため、
ネコちゃんがいるお家には絶対に置かないようにしましょう。
神経症状を引き起こす植物たち
食卓の定番でもあるナス。
ナス科にはチョウセンアサガオやホオズキといったものも含まれます。
ガーデニングで人気の植物ですが、これらの植物の中に含まれるアルカロイドという物質がネコちゃんに神経症状を引き起こします。
嘔吐や痙攣などから始まり、眼振・歩様異常、呼吸不全や昏睡にまで陥る可能性があります。
見落としがちなトマトもナス科の植物。葉や茎に毒性があり食べさせてはいけません。
チョウセンアサガオはヒトにも中毒症状を引き起こしたという報告がある植物です。
食用にすることはまずないと思いますが、注意しておきましょう。
ツツジ、サツキやシャクナゲなどはすべての部位が中毒の原因になりえます。
ツツジ科の植物について
ツツジ科の植物はグラヤノトキシンという毒をもっており、
嘔吐・下痢、不整脈、運動失調、痙攣、昏睡といった神経症状を引き起こし、危険性が非常に高い植物です。
公園やガーデニングでよく見るスミレやパンジー、ビオラの仲間であるスミレ属の植物にも非常に強い中毒性があります。
これらは根茎や種子に毒性があり、嘔吐や神経麻痺を引き起こします。
青酸化合物に変化する植物
プラムをはじめとしたプラム属の果実の種にはアミグダリンと呼ばれる物質が含まれています。
これは消化管内で青酸化合物になり、神経症状や呼吸麻痺を引き起こし、死に至ります。
最も有名な青酸化合物は猛毒の青酸カリウムです。
このプラム属にはりんご、チェリー、モモをはじめ、アンズやウメなど非常にメジャーな果物が並びます。
ウメは特に青梅の状態ではこの青酸化合物の含有量が多いと言われています。
これら植物の種を噛み砕いて飲み込んだ場合には
消化管内で化学反応を起こして青酸化合物に変化、毒性を示すと言われています。
逆に噛み砕かずに飲み込んだ場合には青酸化合物に変化することがなく、
中毒症状を示さないこともありますが、
大きな種が消化管の狭い部位で詰まってしまい、消化管閉塞を引き起こす場合も。
完全に閉塞してしまうと物理的に取り除かなければ消化管が壊死してしまう場合もあるため
内視鏡や外科手術に頼らざるを得ない可能性も。
中毒だけではなく、二重の意味で注意が必要になります。
アジサイのつぼみもプラム属の種と同様に消化管内で青酸に変化し、
痙攣や昏睡、呼吸麻痺などの神経症状をひき起こし致命傷となります。
スイセンの仲間にも要注意
スイセンもガーデニングで人気のある植物。庭に植えているお家も多いかと思います。
しかし、これもネコちゃんにとって危険な植物の一つ。
特に球根の毒性が強いことで有名で、花や葉にも毒性があります。
口にすることで嘔吐・下痢をはじめ、摂取量に依っては低血圧・ショックを引き起こしたり、
心不全などの循環不全を引き起こしたりして致命傷になることも。
比較的軽度な中毒性の植物たち
ポトスやモンステラなどが含まれるサトイモ科の植物や、
キクやコスモス、マーガレットなどのキク科植物も中毒を引き起こします。
ポインセチアやサトイモの仲間は、植物の種類が異なりますが、
嘔吐・下痢に加えて皮膚炎を起こす可能性があります。
多肉植物
アロエをはじめとした多肉植物も注意が必要。
アロエはヒトが食べると健康にいいと言われることもありますが、
ネコちゃんの場合には消化器症状や腎炎といった炎症を引き起こす可能性があるのでなるべく近くに置かないようにしましょう。
猫に危険な植物は700種類以上
今回はネコちゃんに中毒性のある植物についてまとめてみました。
ユリなど毒性が有名な物もありますが、ネコちゃんが気をつけるべき植物は非常に多く、
700種類を超えているとも言われています。
ネコちゃんを飼う予定がある、もしくは飼っているけど、
観葉植物を家に置きたいと思っている方は必ず一回調べて、
近くにおいても大丈夫な植物なのか、確認をしてみてくださいね。
今回は観葉植物を中心にまとめましたが、ネギやアボカドなど、ヒトは食べているけれど、
ネコちゃんが口にすると危ない野菜、果物なども多く存在しています。
これはヒトが進化の過程で様々なものを食べられるようになってきたためで、
意外と知らない落とし穴のような食べ物もたくさんあります。
そちらはまたの機会にまとめてみたいと思います。
気をつけるべき「植物」とは?
ネコちゃんはヒトと比較すると、毒物への耐性が非常に低い生き物です。
肝臓での物質代謝の方法の違いや、腎細胞に対する刺激への耐性の低さにより、
ヒトにはなんでもないものが、ネコちゃんにとっては非常に強い毒性を持つこともあります。
体内への毒物の入り方も物質によって異なる場合が多く、
親油性の物質の場合には胃の粘膜などから速やかに吸収されるため非常に早く症状が現れますが、
比較的症状がでるまでに時間がかかるものもあります。
これら成分の違いによって、動物病院で行う処置の内容や緊急性も大きく変わってきますので、
今回はネコちゃんの近くに置かない方がいい、気をつけるべき「植物」をまとめてみようと思います。
併せて読みたいオススメ記事!
『散歩の時は気をつけたい!犬が食べると危険な植物』
記事はこちら
『覚えておきたい!犬が中毒を起こす食べ物【人の食べ物編】』
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この記事を書いた人
塩田純一郎
首都圏で5年間犬猫を中心とした診療に携わりました。
その後は病気のメカニズムや細胞たちの反応、薬の作用について勉強しています。
日常の身近な疑問や病気のメカニズムについて、わかりやすくお話しできればいいなと思っています。
よろしくお願いします。
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