飼い猫のワクチン接種、定期的に行っていますか?

2021/10/14

飼い猫のワクチン接種、定期的に行っていますか?

猫にもワクチンを

最近では新型コロナウイルスのワクチン接種が推奨され、「一般の方にもワクチンの知識が少しずつ広まっている」そんな印象があります。

人がインフルエンザワクチンなどを定期的に接種し重症化を予防するように、猫にも定期的にワクチンを接種し、感染した場合にも発症させない、重症化を予防する必要があるような感染症があるのです。

ですが、海外の猫のワクチン接種率(52~75%)に比べて、日本の猫のワクチン接種率(10%)は極めて低いことが伴侶動物ワクチン懇話会の調べで分かっています。

今回はなぜ猫に定期的なワクチン接種が必要なのかを解説します。

猫のワクチンは主に2種類

①コアワクチン
全ての猫に対して接種が推奨されているワクチンです。このワクチンで予防できる感染症は3種類あります。

【猫ウイルス性鼻気管炎】
猫ヘルペスウイルスが原因の感染症で、いわゆる「猫風邪」と呼ばれるような鼻汁、くしゃみ、目やになどが主な症状です。重症化すると肺炎や脱水を起こし死ぬ場合もあります。

【猫カリシウイルス感染症】
上記の猫ウイルス性鼻気管炎と似たような症状が見られます。その他に口の中に潰瘍や腸炎を起こすこともあります。

【猫汎白血球減少症】
猫パルボウイルスが原因の感染症で、下痢や嘔吐など重篤な消化器症状を引き起こし、子猫やワクチンを接種していな猫ではかなり致死率が高くなります。

②ノンコアワクチン
室内外を自由に行き来したり、外で飼育されているなど、猫の生活環境によって必要であれば接種が推奨されるワクチンです。

【猫白血病ウイルス感染症】
猫白血病ウイルスに感染すると、発症するまでに数年の時間がかかるものの、発症した場合にはリンパ腫や白血病になり、死ぬ可能性の高い感染症です。

【猫クラミジア感染症】
結膜炎やくしゃみなどの呼吸器症状を起こす細菌感染症です。

【猫エイズウイルス感染症】
発症すると免疫不全を起こすウイルス感染症です。

基本的に完全室内飼いの猫にはコアワクチンの3種混合ワクチン、外に出入りする猫は、コアワクチンに加えてノンコアワクチンも接種することが推奨されています。

体調が優れないときは摂取を控えよう

ワクチンを接種する際は、猫が健康であることが前提条件になるので、飼い猫が元気であることを確認してから病院に連れて行くようにしてください。
状態があまり良くない猫にワクチンを接種するとワクチンの副反応が強く出たり、ワクチンの効果が弱くなったりしてしまうこともあります。

ワクチンの摂取は生後2〜3ヶ月から

生後間もない子猫のうちは母乳から母猫の免疫が移行され、さまざまな感染症から防御してくれますが、1〜2ヶ月経つと移行抗体が徐々に消失していくので、その前にワクチンを接種する必要があります。
ただし、移行抗体が残っているとワクチンによる免疫応答が減弱することがあるので子猫のワクチンは生後2〜3ヶ月から、1ヶ月ごとに2.3回接種することが一般的です。

ワクチンは年1回の摂取が一般的

成猫になった後も定期的なワクチン接種が必要です。
日本では1年に1回のワクチン接種が一般的ですが、海外ではコアワクチンは3年に1回、ノンコアワクチンは1年に1回の接種が推奨されています。

飼い猫の地域や生活環境を踏まえて、かかりつけの獣医との相談の上、ワクチンの接種頻度を決めてくださいね。

※海外と日本を比べると飼い猫全体のワクチン接種率が低いことを危惧して1年に1回接種を推奨している動物病院も多くあります。

副反応は動物病院で対応可能

副反応は動物病院で対応可能

アナフィラキシーショックといって、呼吸困難や循環不全などの重篤な症状が出て、緊急的な治療が必要になる事もあります。
それ以外だと、顔面の腫れやじんましん、発熱や元気消失など様々な症状があります。

ワクチンでの副反応が心配という飼い主さんもいると思います。
副反応が出る猫は少数いることは確かですが、適切な処置を行えば問題がないことがほとんどです。

副反応が心配であれば午前中のうちにワクチンを接種し、日中は様子を見て異常があれば再度病院で診てもらうというのがおすすめです。

ワクチン接種で飼い猫を感染症から守ろう

飼い猫に定期的なワクチン接種を推奨する1番の理由は、感染症による重篤な症状が出ることを予防できるからです。

コアワクチンで予防できるウイルスの中でも、猫汎白血球減少症ウイルス感染症はワクチン未接種の猫では治療に反応せず致死率も上がります。

ワクチンを接種していれば重症化が予防できるのです。

海外では猫の3年に1回のコアワクチン接種と一緒に、1年に1回の健康診断も推奨されています。

飼い猫の健康が長く続くように、定期的な健康診断とワクチン接種について考えるきっかけになると嬉しいです。

ねこ 獣医師 病気 タメになる

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この記事を書いた人

赤松愛

赤松愛

酪農学園大学卒業。
今年で小動物臨床経験7年目。
現在は千葉県で犬猫、小動物の一般診療に従事しています。
猫とフェレットとクォッカが大好きです。

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