ワクチンの種類を再確認。犬のレプトスピラ症

2023/08/22

ワクチンの種類を再確認。犬のレプトスピラ症

レプトスピラ症とは

レプトスピラ症とは

レプトスピラという病気は、スピロヘータと呼ばれる細長い形をした細菌が起こす感染症で
普通の生活をしているかぎりは感染するリスクはほとんどありませんが、
アウトドアなどのアクティビティをされる方を中心に、国内でも毎年感染例があり、
四類感染症にも分類される人獣共通感染症です。

感染数を政府が把握する必要がある病気がリストアップされている感染症法に載っている病気のひとつであり、
感染が発見された場合には政府に届け出る必要があるほどの病気なのです。

自然界ではネズミを中心とする野生動物が媒介し、水や湿った土壌から感染します。
感染の方法は経皮感染と呼ばれ、細菌がいる水や土が皮膚に触れると、皮膚を通り侵入してきます。
感染したワンちゃんの尿からも感染する可能性があるため注意が必要です。

レプトスピラ症の症状と治療

レプトスピラ症で最も特徴的な症状に「黄疸」があります。
これに加えて元気消失・食欲不振を始め、発熱といった症状が見られる場合が多くあります。

黄疸と聞いてイメージするのは肝臓・胆嚢の障害ですが、
レプトスピラ症の場合も細菌が肝臓・腎臓に感染し増殖するため肝臓・腎臓の機能不全を引き起こします。

腎臓への影響によって尿の量が多くなる多尿の状態になったり、
症状が進み腎臓の機能が完全に停止してしまうと全く尿の出ない無尿の状態になってしまったりします。

レプトスピラ症の診断をするためには尿や血液などの細菌がいる可能性がある検体を材料とし、
PCR検査を実施して遺伝子を見つけることで確定診断できますが、
この検査で陰性が確認できたとしても100%否定できる訳でない点が診断を難しくするポイントになってきます。

治療法については細菌が原因であるため抗生物質による治療と、
腎不全・肝不全に対する対症療法として点滴を実施します。
腎臓の機能をいかに維持するかが治療のポイントになります。

予防するためのワクチン接種

予防するためのワクチン接種

レプトスピラ症にはワクチンがあり予防することが可能です。
レプトスピラ症を引き起こす細菌にはさらに細かい血清群と呼ばれる種類があり、
ワクチンと感染する細菌の種類が合わないと予防効果が有効ではないと言われています。

ヒトの届出伝染病として指定されている血清群は
ポモナ、カニコーラ、イクテオヘモラジー、グリポティフォーサ、
ハージョ、オータムナーリス
といった名前がついています。

ワンちゃんのワクチンには5種ワクチンから始まり
6種、7種、8種と予防する病気の種類
で名前がつけられています。

コアワクチンと呼ばれる最低限推奨されているワクチンは5種類になり、
そこにレプトスピラの血清型が追加されるような構成になっています。

7種ワクチンは、コアワクチンに加えてカニコーラ・イクテオヘモラジーが、
9種には7種に加えてグリポチフォーサ・ポモナがあります。

またハージョ、オータムナーリスについては感染症法で届出伝染病に指定されてはいますが、
ワンちゃん用のワクチンにはありません。

また9種に追加されているグリッポチフォーサやポモナ
日本では発生の報告が他の血清型と比較して少ないため、国内での予防の必要性はやや低いかと思われます。
多くの病院にはレプトスピラが入っていない5種ワクチン(コアワクチン)と
レプトスピラを予防するための7種ワクチンが用意されている場合が多いでしょう。

今回は夏に気をつけるべき病気、「レプトスピラ症」について解説しました。

お家のワンちゃんが何種類の混合ワクチンを接種しているのか、
遊びに行く際に追加のワクチン接種が必要になるのかどうか、
レジャーの予定を含めて一度獣医さんと相談してみてもいいですね。

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この記事を書いた人

塩田純一郎

塩田純一郎

首都圏で5年間犬猫を中心とした診療に携わりました。
その後は病気のメカニズムや細胞たちの反応、薬の作用について勉強しています。
日常の身近な疑問や病気のメカニズムについて、わかりやすくお話しできればいいなと思っています。
よろしくお願いします。

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