ペットのおしっこから見つかる病気 気をつけたい血尿・蛋白尿

2023/09/28

ペットのおしっこから見つかる病気 気をつけたい血尿・蛋白尿

ペットのおしっこからわかることは?

毎日確認したいペットの健康状態。元気や食欲もそうですが、排便や排尿も欠かすことのできない健康のバロメーターになります。

最も目につくのはおしっこの量や回数。
ワンちゃんは散歩の時のみおしっこをする子もいますが、
ペットシーツでする習慣がある子は、おしっこの色が分かりやすいため、
色の濃さ、薄さも含めて確認することが出来ます。

またネコちゃんはトイレ砂に添加するような形で血尿が出ているかどうかが分かる製品もでています。
今回はおしっこの中で見つかる異常とそれによって疑われる病気などを解説してみたいと思います。

おしっこ検査で見つかる異常「尿蛋白」

尿蛋白が出る原因として最も多いのは膀胱炎です。

細菌感染や尿結晶による炎症や、刺激によって膀胱の内側を覆っている
「移行上皮」と呼ばれる細胞で作られている粘膜にダメージが入り、出血します。

出血の量が少ない場合には、色の変化が目視では分からない事もありますが、
血中の蛋白成分が尿中に出てきます。また、炎症の際に出現する白血球から出てくる抗体も尿蛋白として検出されます。

細菌感染が原因である膀胱炎の場合には、長期間の抗生剤の投与が必要になる事もあります。

尿結晶では食事療法、膀胱結石では外科的に結石を摘出する事で治療を行います。
膀胱結石の場合、体質的に結晶・結石ができやすい状態になっているため、尿結晶と同様に食事療法が必要になってきます。

膀胱炎以外にも、尿蛋白が多く検出される病気があります。それが「蛋白漏出性腎症」と呼ばれる病気です。

この病気は、本来血液の中から出てこないはずのタンパク質が腎臓の中の糸球体と呼ばれる
フィルターの異常によって尿中に漏れ出てきてしまう病気です。

蛋白漏出性腎症では膀胱炎よりも非常に多くのたんぱく質が検出されるため、
ある程度は判断できますが、確定診断ではUPCと呼ばれる追加検査の結果を待つことになります。

以前は外部の検査場でしか検査できない項目でしたが、病院によっては院内で測定できるところも少しずつ増えてきています。
蛋白漏出性腎症の原因は自己免疫によるものから高血圧によるものなど様々なため、原因を調べていき治療していくことになります。

見た目でも分かる「血尿」

見た目でも分かる「血尿」

血尿とは尿中に血液が混ざってしまう状態のことを言います。
膀胱炎でも出血により検査で反応が出てくる事があります。
顕微鏡でしか見えない尿結晶よりも大きく成長してしまった膀胱結石ではより高確率で血液が混ざってしまいます。

膀胱内の出血の量が多くなってしまうと、血液が固まった血餅が膀胱の出口に詰まり、
おしっこが出せない「尿閉」になってしまいます。程度によっては命に関わるため、
排尿がしっかりできているかは尿関連の治療をしていく中では非常に大切な情報となります。

血尿となれば膀胱炎・膀胱結石を疑う事が多くありますが、原因はそれだけにとどまりません。
ワンちゃんの場合には腎臓から膀胱にわたる尿路に発生する腫瘍が原因になる事が膀胱炎の次に多いといわれています。

稀なことではありますが、腎臓自体に腫瘍ができてしまう場合には腎細胞がんやリンパ腫、
血管肉腫と呼ばれるような悪性の腫瘍であることがあります。

超音波検査で状態を確認し、できものを疑うようであればCT検査で腫瘍の全体像を把握することで、
どのような種類の腫瘍なのかが分かる場合もあるため一つ一つしっかりと検査していきましょう。

膀胱や、前立腺(雄にしかない臓器です)が腫瘍化することもあります。

膀胱の場合には「移行上皮癌」、前立腺の場合には「前立腺がん」が発生頻度として高く、
いずれも転移や浸潤(しんじゅん)をする可能性のある悪性の腫瘍になるため、超音波検査や尿道カテーテル検査を行い、
病理検査を併せてみる事で腫瘍の種類を確定することが診断・治療の第一歩となっていきます。

去勢をしていない高齢の雄のワンちゃんでは前立腺肥大と呼ばれる病気も疑う必要が出てきます。
前立腺肥大はホルモンの影響で異常に前立腺が大きくなってしまう病気です。

肥大化するだけであればおしっこが出づらい、といったような症状にとどまる場合もありますが、
細菌感染を伴うような前立腺炎・前立腺膿瘍といった病気になってしまった場合には
しっかりと抗生剤を使いながら炎症を抑えてあげる必要が出てくることもあります。

このように尿検査の一部だけでもかなりの情報が得られます。
中には早急に診断治療を進めたほうがいいものもありますので、
少しでもおしっこが変だなと思われたら病院に相談してみましょう。

もしもおしっこがとれないのであれば、病院で採尿もできるので気軽に来院してみてくださいね。

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この記事を書いた人

塩田純一郎

塩田純一郎

首都圏で5年間犬猫を中心とした診療に携わりました。
その後は病気のメカニズムや細胞たちの反応、薬の作用について勉強しています。
日常の身近な疑問や病気のメカニズムについて、わかりやすくお話しできればいいなと思っています。
よろしくお願いします。

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