ペットの健康診断でわかる「血糖値」の見方を覚えよう

2021/10/21

ペットの健康診断でわかる「血糖値」の見方を覚えよう

ペットの健康診断、毎年やっていますか?

ワンちゃんネコちゃんは1歳で人間の高校生くらいになり、2歳で人間の24歳ほどに成長。
その後1年で4歳相当の年齢を重ねると言われています。
さらに大型犬は年齢の進みが早く、1年で5、6歳相当の年を重ねます。

人間よりも加齢のペースが早いのは自然なこととして、それに合わせた日頃のケアやチェックは必要。
健康診断は少なくとも1年に1回以上受けることをお勧めします。

ワンちゃんは春先に混合ワクチンや狂犬病ワクチンの接種と一緒に健康診断を実施しているところが多いと思います。
またワンちゃんと時期をずらした秋にネコちゃんの健康診断キャンペーンを実施する病院もあるでしょう。

こういった健康診断キャンペーンでは、病院それぞれで色々なオプションがあると思いますが、まず血液検査は欠かせない検査項目ですよね。

今回は血液検査の結果を獣医が見てどのような印象を抱くかを踏まえ、検査項目の「血糖値」に絞ってその見方を解説していきましょう。

犬と猫の血糖値の正常値

糖尿病の方だけではなく、最近は健康食品のコマーシャルでもよく耳にする『血糖値』という言葉。
文字通り血液内の糖分を表す数値です。
定期健診の時にみられる異常値は低値になることはほとんどなく、多くの場合、正常値よりも高い高血糖として現れます。

正常値はワンちゃんで100 mg/dl 前後で、大体120 mg/dlが上限というイメージ。
ネコちゃんはもう少し高く130 mg/dl くらいまでが正常といわれています。
特にネコちゃんは緊張や興奮で血糖値が高くなりやすく、200 mg/dl 近くあった子でも詳しく調べてみると病気では無かった事もありました。

おしっこ検査でペットの血糖値を検出する

糖尿病とは血糖値が上がり過ぎたため、おしっこに糖分が混ざり込んでしまう状態を表し、血糖値が250 mg/dl を越えたくらいから検出できるようになります。
この辺りはグレーゾーンで、食事制限で正常範囲に戻ることもあれば、どんどん進行してしまう場合もあるのです。

糖尿病が疑われた場合、日を改めての再検査や、興奮などで一時的に上下する血糖値よりも長い期間の結果を反映できる「糖化アルブミン」や「フルクトサミン」と言った項目の追加検査を提案します。

おしっこ検査も忘れずに。
特に症状がなく、外見上も異常がない子たちの健康診断で糖尿病が疑われる場合の血糖値はだいたい200~300 mg/dl 前後が多いですね。

400〜500 mg/dl を越えてきた場合はほぼ間違いなく糖尿病を疑って診断・治療にかかります。
追加検査だけでなく早期のインスリン治療も検討したいところです。
あまりに血糖値が高い場合には糖分が利用できない代わりに身体が産生する「ケトン体」というものによって体調を崩していきます。

ケトン体の産生が過剰になる(ケトーシスと言います)と緊急性を求められ命に関わる場合も。
健診で検査をしてみたらケトーシスになっていた。
なんてことも実際過去に経験しました。

最後に低血糖について

最後に低血糖について

定期健診ではほとんど見ることの無い低血糖ですが、赤ちゃんの頃はワンちゃんネコちゃん問わず栄養失調などによって起きる可能性があります。
また、珍しい腫瘍である「インスリノーマ」が低血糖を引き起こす場合も

これはインスリンを作る細胞が腫瘍化して必要以上にインスリンが産生されてしまった結果です。
珍しい腫瘍ですがフェレットは比較的発生しやすいと報告があります。

以上、今回は健康診断の項目の1つ。血糖値について書いてみました。

糖尿病の仕組みなどを書き始めると長くなるのでまた機会があれば綴ってみようと思いますが、そのほかのメジャーな検査項目についても折を見て紹介していきますね。

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この記事を書いた人

塩田純一郎

塩田純一郎

首都圏で5年間犬猫を中心とした診療に携わりました。
その後は病気のメカニズムや細胞たちの反応、薬の作用について勉強しています。
日常の身近な疑問や病気のメカニズムについて、わかりやすくお話しできればいいなと思っています。
よろしくお願いします。

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