飼い主が注意すべき、冬のペット誤食事故

2023/12/21

飼い主が注意すべき、冬のペット誤食事故

冬のペット誤食事故に注意!

冬はクリスマスにお正月にと楽しいイベントが目白押し。
帰省やパーティーなどで普段とは違った環境になることが非常に多くなります。
そんな楽しい季節ですが、ペットにとっても普段と違う環境は刺激的なものです。

好奇心旺盛なワンちゃんやネコちゃんは普段と違うものに対して興味を持ちます。
今回はその中でも誤食に気をつけるべき物をリストアップして解説していきたいと思います。

クリスマスでよくある誤食事件

クリスマスでよくある誤食事件

まずクリスマスでの誤食で気をつけたいのはチキンレッグです。
チキンレッグにも色々ありますが、特に自宅で調理したものは注意が必要。

チキンレッグで注意すべきポイントは2つあり、一つ目は脂分が多いところ。
脂肪の摂取量が一時的にでも大量になった場合には、消化器のなかでも特に膵臓に大きな負担がかかります。
その結果激しい嘔吐と強い腹痛を引き起こす「急性膵炎」の原因になってしまうのです。

急性膵炎を起こすと頻回に嘔吐を引き起こし、腹痛により活動性が著しく低下します。
膵臓は消化酵素をためておく臓器という性質上、炎症を起こすとその消化酵素によりどんどん炎症が広がってしまうため、
症状が出てしまってからいかに早く改善させるかが重要です。

もう一つのポイントは骨まで食べてしまっているかどうか、どのような状態で骨を飲み込んでいるかになります。

鳥の骨は高温で調理されていると比較的脆くなっているため消化される場合もあり、
そのときは経過観察でも問題ないこともあります。

フライドチキンの骨は厄介

フライドチキンの骨は厄介

特にフライドチキンの専門店などで調理されているものは高温処理されているため
レントゲン検査を実施して危ない状態でなければ経過観察となります。

しかし、調理温度が低かったり、骨を嚙み砕いたりして飲み込んでしまっている場合は少し厄介です。

鳥の骨は砕けると非常に鋭利な形に割れる事が多く、消化管の中を傷つけ、場合によっては腸を貫通してしまうなんてことも。
消化管穿孔にまで至ってしまった場合には、消化管の中身が腹腔へ漏れ出すことで急性腹膜炎を引き起こし非常に危険な状態になります。

また異物誤食の際に良く行われる処置の中に催吐があります。

これは薬を急速投与することで吐き気を催し、異物を吐き出させるというもの。
これによりある程度の物や本来食べると中毒を引き起こすものを体内から除去する手段として使われます。

しかしこれも割れた鳥の骨では禁忌といわれています。
嘔吐を起こす時には胃内容物を出すためにお腹に強い力がかかります。
この時に尖った部分が胃の中を貫通したり、吐き出していく途中で食道を傷つけたりしてしまい、
場所によっては大動脈など非常に大きい血管がある部位に損傷を与えてしまうことも。

こうなってしまっては、全身麻酔により内視鏡での異物除去や、開腹手術によって取り除くしか方法がなくなることもあるのです。
そうならないためにもテーブルの上でペットが取りやすい場所に料理を置くのを避け、間違っても与えないように注意しましょう。

飾り物も気を付けて、ネコの誤食

飾り物も気を付けて、ネコの誤食

クリスマスやお正月にはオーナメントを飾る事もよくあると思います。
この飾りつけはネコちゃんにとっても非常に魅力的。
キラキラ光るライトや垂れ下がった揺れもの、リボンなど、どれもおもちゃにするには持ってこいです。

消化できないものは飲み込んでしまうだけで消化管閉塞や穿孔の原因になります。
これらは消化できないため骨と同様に内視鏡や開腹手術での摘出が必要になります。

特に注意するべきはリボン等の長さのある飾り。
動物病院では紐状異物として区分されるもので、
詰まり方、飲み込み方によっては腸がどんどん引っ張られてしまい、
急激に裂けてしまうこともある非常に危険なものになります。

治療法も基本的には外科手術になります。
紐がどこまで進んでしまっているかによって消化管を何か所切開するかどうかが変わってきます。
また異物をのんで時間が経ってしまっていると腸が壊死してしまい、腸を一部取り除かないといけなくなる事もあります。

観葉植物のポインセチアも気を付けて!

観葉植物のポインセチアも気を付けて!

また、オーナメントだけではなく、クリスマスシーズンによく目にする観葉植物のポインセチアも気を付けて欲しい物の一つ。
葉っぱを食べる事で嘔吐・下痢などの消化器症状を引き起こすだけでなく、樹液が肌に触れる事でかぶれを引き起こすこともあります。

お正月など、普段家にいない人が帰省してきたりすることで、知らず知らずのうちに身体に良くないものを食べてしまっていることもあります。
いずれにしても異物誤食事故は基本的に人間側がコントロールしてあげる必要があるものです。
普段からいたずら癖がある子に関してはなお注意してあげましょう。

具体的にはペットが自由に出入りできる空間に飾り物を置かないようにし、
危なそうなものは置きっぱなしにせずに都度片づけるなど、多少めんどくさいと思ってしまっても大事にならないように事前予防が大切です。

今回は冬場の異物誤食についてまとめてみました。

誤食を疑うときには獣医さんから、家で無くなったものや見当たらなくなった物はありますか? と聞かれると思います。
異物の検査は最初に内視鏡や超音波検査を行い、飲み込んでしまっている可能性がどれくらいあるかを判断します。
その時にも何がなくなっているか、何を飲み込んだ可能性があるかでレントゲン、超音波の読み取り方が変わってきます。

なるべく正確な情報を伝えてあげられるように、普段飾りとして置いていないものも把握できるようにしておけるといいですね。

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この記事を書いた人

塩田純一郎

塩田純一郎

首都圏で5年間犬猫を中心とした診療に携わりました。
その後は病気のメカニズムや細胞たちの反応、薬の作用について勉強しています。
日常の身近な疑問や病気のメカニズムについて、わかりやすくお話しできればいいなと思っています。
よろしくお願いします。

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