犬の目が白くなったら要注意!目の変化で気を付けるポイント

2024/01/16

犬の目が白くなったら要注意!目の変化で気を付けるポイント

高齢の犬に多い?白内障と関連疾患

白内障はヒトでも有名な病気のひとつ。
目の構造のなかで水晶体と呼ばれる焦点を調節するレンズの役割をする部分が白くなってしまうものです。

水晶体はもともと細胞が規則正しく並ぶことで綺麗な構造を作り、透明な組織を形成していますが、
白内障とはこの並びが歪んでしまうことで発症する病気です。

水晶体は瞳孔の後ろにある組織のため、外からみると瞳孔よりも内側のみが白く見えてきます。
白内障は「初期」「中期」「成熟期」「過熟期」と進んでいくのですが、初期は非常に薄く、全体が白みを帯びてきます。
この時点では後述する核硬化症と区別することがほとんど出来ません。

症状がより進み、中期白内障になってくると水晶体のなかでも特に白みが強くなってくる部分が出てきます。
成熟期では水晶体全体がかなり白く変化し、外側から目の中を観察することが完全にできなくなります。
この段階ですと視力も著しく低下しています。

ただし、ワンちゃんはもともとそこまで視力に依存した生活をしていないため、
家での生活スタイルに大きな変化が見られにくく、日常の中では気付かないことがほとんどです。

成熟期の白内障になると、ワンちゃんの顔をよく見ている飼い主さんが気付き、病院に相談に来ることが多く見られます。
そして、さらに進んだ白内障が過熟期になります。

過熟期では全体が真っ白になっていた水晶体が一部透明になってきたり、茶色の構造物が出てきたりといった変化が見られます。

過熟期に入ると白内障に続発した緑内障やぶどう膜炎が発生するリスクがあがってくるため、
白内障だけではなく、結膜炎(白目の赤み)などが出てくるようであれば眼圧の検査などを早めに行いましょう。

急に眼が白くなってしまう急性の白内障の場合には、背景に糖尿病が隠れている事もあるため内臓のチェックも一緒にしておくと安心です。

水晶体が白くなる核硬化症

水晶体が白くなるもう一つの原因が「核硬化症」というもの。

核硬化症とは水晶体の細胞が配列を乱すことなく(白内障は配列が乱れる)細胞の密度が
上昇することで色味が白くなってくる状態のことを言います。

見た目は初期の白内障と似ていますが、光の反射の仕方や透過の具合で見分けることが可能です。
ただし、いずれも高齢になってから出現してくる症状なので、どちらか一方のみではなく同時に発生していることが多く見られます。
水晶体の変化を感じたら定期的にチェックしていくことが大切です。

眼の全体が白くなる角膜炎

眼の全体が白くなる角膜炎

眼を正面から見て、瞳孔も含めた全体が白くなっている時には角膜全体の炎症、「角膜浮腫」を疑います。

角膜に炎症が起き、浮腫といわれる全体がむくんでしまった状態になると全体が白く濁って見えてきます。
この時に結膜(白目の部分)に充血がある場合には急性の強い炎症が起きている可能性があります。

急性の場合にはしっかり治療をすることで角膜の白みは治癒に伴って改善していくことが大半です。

それに対して、結膜の充血を伴わない全体的な白色化は慢性の角膜浮腫、あるいは肥厚を起こしている可能性があります。
この状態になってしまっていると炎症自体が慢性化してしまっている場合も。

炎症の程度は強くないけれども、炎症が起きている期間が長くなると角膜の細胞が浮腫を起こすだけでなく組織自体が固くなってしまうことで白色化します。
程度に依存しますが、慢性化した角膜の白色化は治療しても回復しない事があるので注意しましょう。

乾性角結膜炎(ドライアイ)が原因で長期的な角膜炎になる事もあります。
涙の量が少なくなることで目の表面の保護力が低下して持続的な炎症が発生することで起きてしまうため、
極端に目ヤニの量が増えたり、目ヤニの粘性が上がってきたりするようならば病院で涙の量の検査をしてみてもいいでしょう。
シーズーやチワワのような短頭種を始め、コッカースパニエルなどにも比較的多い印象があります。

表面に白い傷 角膜損傷・ジストロフィー

表面に白い傷 角膜損傷・ジストロフィー

目の表面、角膜の一部が白くなることがあります。
このような時にはいくつか原因が考えられますが、若い子で多いものは角膜損傷です。

角膜の表面に擦り傷ができると、その周囲だけに角膜の浮腫が起きる事があります。
角膜の浮腫自体は傷ができた部分に多くの栄養を送り込んで修復を助ける機能のため、白くなること自体は問題ありません。

これは角膜炎での角膜浮腫も同様で、角膜浮腫の範囲が狭いということは傷ができてからの時間が短い傾向にあります。
そのため早めに病院に行って傷の大きさの評価や適切な治療をうけることで完全に治癒する可能性があります。

傷などもできずに、本人も全く気にしない間に角膜が白くなっていることがあります。
これが結晶状に見えている時には「角膜ジストロフィー」というものかもしれません。

角膜ジストロフィーとは角膜の表面にカルシウムなどのミネラルやコレステロールが沈着して結晶を作ってしまう病態です。

遺伝性で起こると言われているこの疾患は、ビーグルやシベリアンハスキーなどといった犬種に多いといわれていますが、
トイプードルなど比較的よく見る犬種のなかにも発生していることがあるので、その他の犬種では全くないという訳ではありません。

このジストロフィーですが、これ自体が原因で視力が低下したり失明したりといったことはありません。
また発生の原因が体質的な面も持つことから治療したとしても再発の確率が高いため、無治療で経過観察をすることになります。

このように眼が白く見えるということだけでも、これだけ多くの病気のパターンがあります。
お散歩の時だけでなくても、顔をみてあれ?と思ったら病院で検査をうけてみましょう。

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この記事を書いた人

塩田純一郎

塩田純一郎

首都圏で5年間犬猫を中心とした診療に携わりました。
その後は病気のメカニズムや細胞たちの反応、薬の作用について勉強しています。
日常の身近な疑問や病気のメカニズムについて、わかりやすくお話しできればいいなと思っています。
よろしくお願いします。

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