猫がアレルギーで引き起こす様々な皮膚炎とその対策

2024/04/04

猫がアレルギーで引き起こす様々な皮膚炎とその対策

猫のアレルギーの原因

猫のアレルゲンは基本的にヒトと同じです。
環境性のアレルゲンとしては花粉、ハウスダスト、カビ、ウイルスなどの目に見えない浮遊物が主体となります。

特に花粉はヒトの花粉症と同様に症状に季節性が現れます。
ハウスダストやカビ等は掃除を怠ったり、掃除直後でアレルゲンが空気中に舞ったりしていると強い症状が出てきます。

また本来は寄生虫などの外的から身体をまもる働きをする「好酸球」と呼ばれる
白血球の仲間が免役システムの中で上手く制御できずに皮膚炎を引き起こすことがあります。

猫のアレルギー性疾患は主に鼻炎や皮膚炎として表れます。
鼻炎の場合には炎症によって感染を起こしやすくなるため、
基本的には対症療法を実施することになります。

猫の過敏性皮膚炎

過敏性皮膚炎とは何らかの原因物質に対するアレルギー性の皮膚炎を指します。
この疾患の原因はノミ、食べ物、外的アレルギー物質に分類され、それぞれで現れる症状の部位が少しずつ異なってきます。

・ノミ反応性皮膚炎
ノミの感染・寄生によって発生するアレルギー性の皮膚炎です。
主な症状としては背中から腰にかけてかなり強い痒みが現れます。
よく見ると皮膚が真っ赤になり、ノミの糞が黒いゴミ状のものとして見られたり、
歩いているノミまでみつかったりします。

経験的には痒みが強いため、背中や腰を痛そうにしていると飼い主さんが感じて病院に連れてこられる場合もあります。
痒みのストレスのために動けなくなったり食欲不振になったりすることも。
またノミの寄生によって発生するため、春から秋にかけての暖かい季節に発生する点も特徴になります。

ノミは動物の身体から飛び降りて毛布や布団、家具などの影に潜むこともあるので、
もしもノミ寄生が見つかったら家の中の消毒もしっかりと行いましょう。

食物性アレルギー

食物アレルギーでは首や顔周りをかゆがることが多く、
その他のアレルギーと同様に皮膚のかき壊しや咬み傷などが原因で見つかる事がよくあります。
皮膚の赤みはそこまで強くならない事もありますが、他のアレルギー症状との違いは消化器症状を伴う場合があることです。

食物アレルギーだからといって必ずしも消化器症状を起こすわけではありませんが、
代表的な症状としては間欠的な嘔吐・下痢、排便回数の増加といったような慢性的、長期的な症状として現れます。

これはアレルゲンになる食物を継続して摂取することで日常的な症状になっているためです。
「うちの子はお腹が弱いから…」といったように、その子の体質と思い込んでいる可能性もあります。
日常的な嘔吐や下痢・軟便が気になったら獣医に相談してみてもいいかもしれません。

食物アレルギーの治療法としてはヒトと同様にそのアレルゲンを摂取しない事になります。
そのためフードの変更などを行い症状が落ち着いてくるかどうかを試してみる事になります。

ハウスダストによるアレルギー

ハウスダストによるアレルギー

ホコリやハウスダストによるアレルギーもあります。
アトピー性皮膚炎として知られているこれらは、
アレルゲンの原因によって季節性がでることもあります。
頭・頸・お腹に症状が出ることが多く、頭や身体をかき壊したり皮膚にブツブツができたりします。

また症状が皮膚の中で部分的に出てくることがあり、ホットスポットと呼ばれます。
比較的若い年齢で発生することが多く、これに関してはワンちゃんのアトピー性皮膚炎と同様です。

原因を調べるには皮内検査といって皮膚にアレルゲンを注射して反応を見る検査を行います。
これによって原因が分かれば減感作療法を行い治る事もありますが、
症状に併せて痒みとうまく付き合っていくことになることが多いでしょう。

猫好酸球性皮膚炎

猫好酸球性皮膚炎

この病気は好酸球性肉芽腫症候群と呼ばれ、主に皮膚、口腔に腫れや潰瘍を形成します。
主に表れる症状は表皮がえぐれて陥没したような状態になる好酸球性潰瘍、
症状を起こした部位全体が平面的に膨れ上がる好酸球性プラーク、腫瘤性に大きくなってくる好酸球性肉芽腫が挙げられます。

好酸球性潰瘍は口の皮膚と粘膜の境界部に発生することが多く見られます。
好酸球性プラークは痒みを伴い、頸部・腹部・鼠経部・大腿部・足先が好発部位になります。
好酸球性肉芽腫は、しこりとして気付かれることが多く、
太ももや顎を始めとして鼻や口といった顔周りに症状が出やすくなっています。

その他、アレルギーではなくても痒みを引き起こしたり、皮膚に炎症を起こしたりする事もあります。
主な原因は皮膚糸状菌という真菌(カビの仲間)が感染した皮膚糸状菌症やストレス、膀胱炎など、
何か気になる事があった場合にはストレスの発散や膀胱の違和感に対して皮膚をなめるといったような行動をします。

猫の舌はザラザラしており刺激が強いため、その刺激によって炎症を引き起こします。
一度炎症を引き起こしてしまうと炎症によって痒みが発生するため悪循環になってしまいます。

このストレスによる皮膚炎は心因性皮膚炎と呼ばれます。膀胱炎などの場合にはその原因に対する治療を。
心因性の場合にはストレス源の除去やサプリメントで対応します。

アレルギーと上手く付き合っていくために

今回は猫のアレルギーについて解説しました。
アレルギーは体質が原因になっていることが多いため根本的な治療が難しく、
いかに上手く付き合っていくかを考えて行く必要がある病気です。
治療も長くなることが多いので上手く獣医さんと連携をとって行きましょう。

また、アレルギー以外にも皮膚に症状をだす病気も少しだけ紹介しました。
これらの病気も病院の検査でしっかり調べてから治療に入りましょう。

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この記事を書いた人

塩田純一郎

塩田純一郎

首都圏で5年間犬猫を中心とした診療に携わりました。
その後は病気のメカニズムや細胞たちの反応、薬の作用について勉強しています。
日常の身近な疑問や病気のメカニズムについて、わかりやすくお話しできればいいなと思っています。
よろしくお願いします。

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