ペットのお腹が急に膨らんだら疑いたい「胃拡張腸捻転症候群」

2024/05/21

ペットのお腹が急に膨らんだら疑いたい「胃拡張腸捻転症候群」

胃拡張の原因と注意すべき犬種

胃拡張の原因と注意すべき犬種

ペットがご飯を沢山食べる事はとてもいいことですが、
シニアになってきてもがっつき過ぎる子には注意が必要です。

がつがつ食べることにより、空気も一緒に体内へ取り込まれてしまい
「胃拡張」を引き起こしてしまう場合があります。

また胃拡張のままで終わらず「胃捻転」まで発展すると全身の循環が悪化し、
命にもかかわる「胃拡張捻転症候群」へと発展する事もある病気です。

特に起こしやすい犬種などがあるため、該当する子は気を付けていきましょう。

胃拡張・胃捻転症候群は身体の構造によって起こりやすい犬種が決まっており、
体格が大きく胸が深い犬種で特に注意が必要です。

ゴールデンレトリバーやシベリアンハスキーといった比較的メジャーな犬種から
ジャーマンシェパード、スタンダードプードル、セッター犬種のような大型犬。
グレート・デン、セント・バーナードのような超大型犬も含まれます。

また特例として若齢の小型犬でも一気にご飯を食べると胃拡張を起こすことがありますが、
ガスを抜くことで落ち着くことが大半です。

またダックスフンドは小型犬の中でも特に胃拡張を起こしやすくなります。
こちらも胃拡張で収まることが多いですが、胃捻転を絶対に起こさないというわけではないですし、
苦しい状態にあることには変わりないため、病院でのチェックは必ず受けましょう。

胃拡張を起こしてしまう原因と仕組みについて説明します。

胃拡張は先ほど挙げたような体型の子がガツガツとご飯を食べた際、フードと一緒に空気を多く飲み込むことで生じます。

この飲み込んだ空気によって胃が拡張し、胃が蠕動(ぜんどう)する領域が狭くなり、運動性が著しく低下します。
そのため胃内にガスが増加し、さらに内容物の流れが悪くなってしまうのです。

また、食事後に激しい運動をすることで発生することもあり、この状態を症状として「胃拡張」といいます。

胃拡張を引き起こした状態になると外見上、腹部の膨満感がとても強く出てきます。
それに伴い腹圧が上昇してきて呼吸がしづらくなったり強い腹痛に見舞われたりすることで
活動性が低下したり呼吸回数が早くなったりし、ぐったりした状態になります。
だいたい食後1〜4時間程度で症状が生じると言われています。

腹囲膨満が目立たない場合だと様子を見てしまうこともあるかもしれませんが、
流涎や嘔吐といった一般的な消化器症状も引き起こすことがあるので油断はできません。
胃捻転にまで移行してしまった場合には致死的となるため早期の判断が重要です。

特に先程述べたような好発犬種の子は早めに病院に行って検査を行いましょう。


胃捻転症候群の原因と対処法

胃捻転症候群の原因と対処法

胃捻転症候群は胃拡張を起こした子の中でも、特に高齢の子に発生しやすい傾向になります。
胃は入口(噴門)と出口(幽門)が固定されている臓器になりますが、
高齢になるにともなって幽門の位置がずれやすくなってしまうためです。

お腹の中で胃が右方向にぐるっと回ってしまうことで、
胃と脾臓を中心として分布している血管がねじれたり、
後大静脈を圧迫したりするようになってきます。

胃捻転症候群の病態として胃のサイズが大きくなるだけではなく、
この血流の阻害が非常に強く影響を及ぼします。

組織の還流血液量が減少することにより血圧低下・不整脈を引き起こし、
血圧が維持できない状態になるといわゆるショック症状を引き起こします。

このような状態はすでに救急救命処置が必要な段階になっているため、
血管確保を行い血圧維持、心拍の安定化を行い、同時に胃の減圧を行います。
胃捻転を起こしている胃の中からガスや泡を取り除くために体表から針を指して直接胃の中からガスを抜くのです。

ガスを抜き終えて、全身状態の安定化までこぎつけることが出来れば、
捻転している胃を元の位置に戻すことで治療を行います。この治療は外科手術になります。
多くの場合には一般状態状態が悪化した上での開腹手術になるため、
麻酔のリスクや術中死の可能性も上がっており、麻酔も慎重に行うことになります。

手術では、
1、胃を元の位置に戻す。
2、血流異常(虚血)で壊死している臓器を切除する。
3、胃壁を腹壁に縫い付けて再発を予防する。
といったような処置を行います。

手術を乗り越えたあとも48〜72時間は急変のリスクがあるため、集中治療を必要とします。
体格が大きな犬種で起きることが多い病気であるため、病院としてもかなり大掛かりな手術になります。

胃捻転症候群は適切な治療を行ったとしても2割から7割程度が死んでしまうという高い致死率を持つ病気です。
いかに早く外科手術を行えるかどうかと、合併症を起こさないかどうかが退院率に直結します。

胃捻転症候群を予防するには

胃捻転症候群を予防するには

胃捻転をおこさないためには、1回の食事量を減らし、
お皿をいくつかに分けて時間をかけて食べきらせるようにしましょう。
また、食事の前後で運動をしないようにすることも大切です。

さらに、お皿の位置を高くしすぎないようにすることで、
胃の中へ空気が入るのを予防します。
食後しばらくは様子を見て、変化があるようならば早めに病院で診断することが必要です。

胃捻転症候群についてはレントゲンで診断することになりますが、
ショック状態になっているような場合であれば検査よりも緊急治療を優先する必要が出て来るため、
獣医師としても診断を行うのか治療を行うのかの判断が要求される病気でもあります。

今回は胃拡張・胃捻転症候群について解説しました。

病気になりやすい犬種には偏りがあります。
なりやすい犬種のオーナーさんはより気を付けて生活していきましょう。

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この記事を書いた人

塩田純一郎

塩田純一郎

首都圏で5年間犬猫を中心とした診療に携わりました。
その後は病気のメカニズムや細胞たちの反応、薬の作用について勉強しています。
日常の身近な疑問や病気のメカニズムについて、わかりやすくお話しできればいいなと思っています。
よろしくお願いします。

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