隠れアレルギーも?気を付けたいアレルギー反応と見分け方

2021/08/27

隠れアレルギーも?気を付けたいアレルギー反応と見分け方

はじめまして。獣医師の塩田と申します。

動物の病気の事を皆さんに分かりやすくお話しできるように頑張ります。

今回はアレルギーの簡単な説明に加え、危険なアレルギー反応や見落とされがちな日常に潜むワンちゃんたちのアレルギーについて書いていきたいと思います。

アレルギーとは

ワンちゃんの飼い主さんは春に行われる混合ワクチンや狂犬病のワクチン接種の時にアレルギーという言葉を聞いたことと思います。

近年、人間だけでなくペットについてもアレルギーという言葉は良く聞くようになりました。ですが、漠然としたイメージはあるけれどその実よくわからないと言う人も多いのではないでしょうか。

そもそもアレルギーとは、身体を病原体や異物から守る反応が暴走してしまい、うまく調整ができないことで生じるもの。その結果として様々な症状を現します。アレルギーの種類は1型から4型の4つのタイプがあり、それぞれを簡単に説明していきます。

・Ⅰ型:即時型と呼ばれ、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を摂取して比較的早い時間で症状が出るものです。食べ物のアレルギーや花粉症などがこれにあたります。一部アトピー性の皮膚炎やハチなどに刺された時のアナフィラキシーもこのタイプに入ります。

・Ⅱ型:自分の細胞に対して間違って攻撃して壊してしまうタイプのアレルギーです。輸血などで適合しなかった場合にはこの反応が起きるので注意して行うことになります。

・Ⅲ型:免疫複合体(原因物質と抗体が合わさったもの)を作り、様々な場所に張り付いて起きるアレルギーです。有名な病気には関節に付着して炎症を起こす関節リウマチがあります。

・Ⅳ型:遅延型と呼ばれ、以前よく行われていたツベルクリン検査はこの反応を利用して結核への抵抗力があるかどうかを調べる検査です。その他金属アレルギーなどの接触による皮膚炎もこのタイプ。軽度なものでは接触した部位だけですが、ひどくなると全身に症状が出る場合も。

危険なアレルギー反応

少しややこしい説明になってしまいましたが、それでは実際にアレルギーを起こしたワンちゃんのどのような症状に注意すればいいのでしょうか。

特に注意してほしい危険なアレルギー反応はアナフィラキシーと呼ばれる急激に起きるもので、ワクチン接種のあとに出る場合は打ってから30分以内に起きる事が多いのです。

主な症状としては皮膚に赤みが出る、腫れぼったくなる(顔が腫れる)、体温が高くなる、呼吸が早くなる、呼吸音がおおきくなる(ヒューヒューいう)、活動的でなくなる、ぐったりするなどが挙げられます。

その中でも特にパグやフレンチ・ブルドッグ等の短頭種と呼ばれる子たちは生まれつき喉の構造が狭くできています。このような子たちは顔が腫れる反応が起きると喉の粘膜が腫れてしまい呼吸しづらくなりやすいため注意が必要です。

これらの症状は予防注射の際に獣医さんから「注意して見てあげてくださいね」と言われると思います。調子がおかしいなと思った時は、迷わず獣医さんに相談しましょう。また、一度アレルギー反応を起こした子は繰り返しやすくなるため、引っ越しなどで新しい病院に行くことになった時などは確実に伝えるようにしましょう。

このような話をすると予防接種がとても怖いもののように感じてしまいますが、ワンちゃんの健康のためには予防摂取は必要なもので、接種後にしっかり様子を見てあげることが大切になります。

また、このような反応は予防接種の時だけではなく、ハチなどに刺されてしまった場合にも起きる場合があります。アウトドアやレジャーの季節になりましたが、もし刺されてしまっても慌てないようにしましょう。

日常のアレルギー

日常のアレルギー

アレルギーの症状は急に出てくるものだけではありません。柴犬やフレンチ・ブルドッグのような、犬種的にアトピー性の皮膚炎を起こしやすい子たちもいます。明らかに赤みが出ていない場合でも身体をよく掻いていたり、お腹の皮膚が黒ずんだりしている場合はこのような皮膚炎を持っている可能性がありますので、かかりつけの先生に相談してみてもいいと思います。

そして普段から吐き癖がある、便が緩い、そんな症状も実は外見からは見分けにくい隠れたアレルギーの可能性もあります。人間でいう食べ物アレルギーに分類されるアレルギーですね。

皮膚炎などの強い症状をださず、子どものころからおなかが緩いことで体質だと勘違いされて、見逃される場合もあるのです。

アレルギー検査などで原因物質が特定できると食事療法で改善することもありますので、気になる方は動物病院で相談してみてください。

このように様々な症状を見せるアレルギー。もちろんみんながみんな持っているわけではありません。その上、急性のものは発生を予想することができず、皮膚炎などでも症状が強く出ていない時には、検査をしても原因が見つからない場合もある獣医師泣かせの診断が難しい疾患です。

特に症状が弱いものは普段から様子を見ている飼い主さんしかわからない部分も多くあります。

もし普段の様子を見ていて気になる事があるようならかかりつけの先生に相談してみましょう。

病気 獣医師

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この記事を書いた人

塩田純一郎

塩田純一郎

首都圏で5年間犬猫を中心とした診療に携わりました。
その後は病気のメカニズムや細胞たちの反応、薬の作用について勉強しています。
日常の身近な疑問や病気のメカニズムについて、わかりやすくお話しできればいいなと思っています。
よろしくお願いします。

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