小型犬でもOK!嘱託警察犬のおはなし
2024/12/23

改めて犬の嗅覚の凄さを考える
春と秋になると、花粉症で嗅覚がぶっ壊れてしまう私。
花の香りを感じられず、歩いていても殺風景に感じてしまうのですが、匂いに鈍感になるおかげで、香りの強いパクチーも、セロリも美味しくいただく事が出来るというメリットもあります。
一方、犬の嗅覚は人間よりも桁違いに良いという話がありますが(数千倍という説から、1億倍という説まで様々)犬が人に比べて桁違いに優れた嗅覚を持つのは、鼻の中のニオイを感じ取る粘膜層(嗅上皮)の広さが大きく異なるからだと言われています。
人の嗅上皮は1円玉から10円玉くらいの大きさ程度なのですが、犬はなんと千円札ぐらい。人の50倍以上の広い嗅上皮を持っていため、犬は嗅覚が敏感だという事です。
ちなみに、犬は室内なら6週間前のニオイも嗅ぎ取る事が出来るとか。
犬のような鋭い嗅覚を持つ動物は他にもいるそうですが、その高い能力を活かせる点も、ワンコの凄いところです。
嗅覚を使って働くワンコと言えば…?

嗅覚を使って働くワンコと言えば、地震などで瓦礫に埋もれた人を探し出す「災害救助犬」や、空港などで爆発物を探知する「爆発物探知犬」、「麻薬探知犬」や、患者の尿や血液などの匂いから様々な癌を見つける「がん探知犬」などが知られていますが、今回、私が取り上げたいのは、「警察犬」。
靴跡の匂いから容疑者の進行方向を割り出すなど、非常に優秀なワンコたちです。(その場にいたら、ご褒美のおやつをあげたくなります)
嘱託警察犬とは
捜査活動などで活躍する警察犬は大きく分けて2種類。各都道府県警察が飼育管理し訓練をしている「直轄警察犬」と、一般の人が飼育管理し訓練をしている「嘱託警察犬」になります。
嘱託警察犬(https://www.policedog.or.jp/seido/syokutaku/)は各道府県警察が毎年審査会を行い、嘱託する警察犬を選考し指定をしています。
小型犬や中型犬も嘱託警察犬になれる
現在、嘱託警察犬の数が減る一方で、各警察は犬種の枠を拡大しています。
朝日新聞の2024年11月20日の記事によりますと、2024年の登録は計31種で、2015年の18種から1.7倍に増加。
ジャーマンシェパードやラブラドルレトリバーなどの大型犬がやはり多いそうですが、近年増加が目立つのは小型犬や中型犬。
ミニチュアダックスフントやフォックステリア、ミニチュアピンシャー、柴犬、シーズ、ミニチュアシュナウザー、ビーグル、ポメラニアン、ヨークシャテリア、ウェルシュテリア、シェットランドシープドッグ、シーズー、ウェルシュコーギーペンブローク、甲斐犬、イングリッシュコッカースパニエル、ドジャースの大谷翔平選手の愛犬「デコピン」で知名度が上がったコーイケホンディエなども採用された事があるとか。
小柄で可愛らしいポメラニアンや、ヨークシャテリアは警察犬のイメージからかけ離れていますが、嘱託犬の減少の為、小型犬や中型犬にも枠を拡大して、採用しているという事です。
テレビ番組「警察24時」などを観る度に、興奮してテレビに吠えるという、防犯機能が過剰な我が家の愛犬テテ(レークランドテリア)も嘱託警察犬なら可能なのかもしれません。
茨城県の嘱託警察犬にはトイプーも

小型犬を積極的に嘱託警察犬に取り入れているのが茨城県。
実際、茨城県の嘱託警察犬のウェブサイト(https://www.pref.ibaraki.jp/kenkei/a05_introduction/policedog/stand.html)を見てみますと、強そうなシェパードの中に、モコモコのワンコ。ぬいぐるみのようなキュートな佇まいの2匹のトイプードルが嘱託警察犬として登録されているのです。
「なぜにトイプードルが…?」と疑問をお持ちになられた方もいらっしゃるかもしれませんが、実はトイプードルが警察嘱託犬になった背景には、1匹のワンコの物語がありました。
2013年、生後3ヶ月で飼育放棄されていたトイプードルの「アンズ」ちゃんを警察犬の訓練士の方が保護。その後、お利口なアンズちゃんが警察犬の訓練に興味を持ち始めたので、参加させてみたところ、捜索が難しい小銭を探し当てたそうです。
そして、2015年、警察犬の審査(足跡追及)に一発合格。小型犬としては茨城県初の嘱託警察犬となりました。
小柄なトイプードルは地面と鼻の位置が近く、薄い臭いを嗅ぎ分けたり、小さな遺留品を見つけたりできるのが特長で、アンズちゃんは行方不明者などを発見するなど、大活躍。
その奮闘ぶりは『警察犬になったアンズ』や『警察犬アンズの事件簿』などで
書籍化されています。
このアンズちゃんの子供2匹が今、茨城県の嘱託警察犬として登録されている、トイプードルなんです。
これから、高齢化がますます進み、行方不明になってしまうお年寄りが増える事が予想される中(将来の自分も含めて)、狭い路地にも入りやすく、機動力の高い、小型犬や中型犬の嘱託警察犬が活躍する場面が多くなっていくのかもしれませんね。
そんなエラいワンコに街で出会った時のために、私はいつもカバンの中に、犬用のおやつを入れておこうかと思います。
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この記事を書いた人

小谷亮介
1976年生まれ。放送作家。
5歳の時から40年以上、犬と暮らす自称「愛犬家」。
令和元年の秋に千葉などを襲った台風の前日に次男が子猫を拾い、現在は犬と猫(仲悪い!)との生活を送る。
放送作家としてはTBSラジオ「伊集院光とらじおと」、ニッポン放送「飯田浩司のOK!Cozy up!」などを担当。
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