気を付けたい猫の肥満 獣医が教えるその原因と対策法

2025/01/09

気を付けたい猫の肥満 獣医が教えるその原因と対策法

気を付けたい猫の肥満 獣医が教える対策

近年、ペットの生活環境が豊かになる一方で、猫の肥満が問題視されるようになってきています。肥満はコロコロと可愛い見た目とは裏腹に、猫の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があるのです。

生き物は生まれつき食事で余ったカロリーは体内に保存するようにできているため、摂取カロリーが消費カロリーより多くなると太っていくことは自然なことですが、過度な肥満は病気の原因になることもあります。

今回は猫の肥満の原因、リスク、そして予防と対策について解説します。

肥満の定義と原因

肥満の定義と原因

ネコちゃんの肥満は、体脂肪が過剰に蓄積され、理想体重を15〜20%以上超えた状態を指します。肥満の主な原因は以下の通りです。

1.過剰な食事
カロリーの高いキャットフードや、おやつの与えすぎが肥満の大きな要因となります。特に、ネコちゃんの場合にはご飯を出して、無くなったら追加するという餌のあげかたをしている家庭も多くあります。飼い主がネコちゃんの欲しがるままに食べ物を与えることで、ネコちゃんの摂取カロリーが必要量を大幅に超えてしまう場合があるのです。

2.運動不足
室内飼いの子は、運動量が限られがちです。特に活動性の低い猫種や高齢猫では、日々のカロリー消費が減少し、脂肪が蓄積しやすくなります。もっとも、運動でカロリーを消費するためにはかなりハードな運動をしなければいけません。

3.去勢・避妊手術
去勢・避妊手術は将来的な病気の予防のためには必要な手術ですが、手術後はホルモンバランスの変化により、代謝が低下しやすくなります。多くの場合は手術を行った獣医さんからアドバイスをもらえる事が多いですが、食事管理を怠ると太りやすくなる傾向があります。

4.病気や遺伝的要因
糖尿病をはじめとした内分泌疾患や、多発性関節炎などの病気、または猫の品種によっても肥満が発生します。また、糖尿病や尿石症といった疾患は肥満により発生率が上がることも知られているため双方向に注意が必要です。

肥満が引き起こす病気

肥満が引き起こす病気

肥満は見た目だけの問題ではなく、ネコちゃんの健康に多大な影響を与える可能性があります。具体的には以下のようなリスクがあります。

・糖尿病
ネコちゃんの糖尿病はヒトでいう2型糖尿病と似ていると言われています。肥満はインスリン抵抗性を引き起こし、糖尿病の発症リスクを高めます。

・関節疾患
体重の増加により、関節に負担がかかり、関節炎や歩行困難を招くことがあります。また多発性関節炎など全身の関節に影響を及ぼす疾患によって活動性も低下し、さらなる肥満を引き起こします。

・心臓病
肥満は心臓に良くないと言われますが、肥満が心臓病の直接的な原因になることはありません。しかし、心臓や血管に負担をかけ、高血圧や心不全の原因になることがあります。

・肝リピドーシス(脂肪肝)
肥満の猫が急激に体重を減らすと、肝臓に脂肪が蓄積し、命に関わる疾患を引き起こすことがあります。何か他の疾患によって食事が摂れなくなった場合にもリスクになります。併発により症状がさらに重くなってしまうことも。

・尿石症・巨大結腸症
肥満の猫と膀胱結石、結晶尿の罹患率に相関がある事がわかっています。また、肥満になると排便もしづらくなり、便秘がちになります。便秘が続くと結腸が伸びきってしまい、巨大結腸症になることもあるので注意しましょう。

猫の肥満予防と対策法

猫の肥満予防と対策法

1. 適切な食事管理
ネコちゃんの年齢、体重、運動量に応じたカロリー摂取を管理しましょう。獣医師に相談して、適切なカロリーを計算し、必要に合わせて低カロリー食、または体重管理用のフードを選ぶことも有効です。

2.定期的な運動
ネコちゃんが興味を持つおもちゃやキャットタワーを活用して、遊びながら運動させる習慣をつけましょう。1日10分程度でも、継続することが大切です。

3.体重測定
定期的に体重を測定し、増減を記録することで、肥満の兆候を早期に発見し、相談に行くことができます。

4.去勢・避妊手術の後は注意
手術後は食欲が増す場合があるため、カロリー管理を徹底しましょう。特に、高カロリーのおやつや間食を控えることが重要です。

5.定期健康診断
肥満が原因の病気を未然に防ぐためにも、獣医師による定期的な健康チェックを受けましょう。

ネコちゃんの肥満は、飼い主のちょっとした心掛けで防ぐことができます。適切な食事と運動を心掛け、ネコちゃんの健康と幸せな生活をサポートしましょう。健康な体を維持することで、愛猫との楽しい時間がより長く続くはずです。

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この記事を書いた人

獣医師 塩田純一郎

獣医師 塩田純一郎

獣医師。
首都圏で5年間犬猫を中心とした診療に携わりました。その後は病気のメカニズムや細胞たちの反応、薬の作用について勉強しています。
日常の身近な疑問や病気のメカニズムについて、わかりやすくお話しできればいいなと思っています。
よろしくお願いします。

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