犬のチェリーアイとは?原因・症状・治療法について解説
2025/03/11

犬のチェリーアイとは?原因・症状・治療法
愛犬の目が突然赤く腫れ、飛び出したように見えるーこのような症状が現れたら、「チェリーアイ」の可能性があります。チェリーアイは特に若い犬や特定の犬種で見られる目の疾患で、適切な治療が必要です。今回はチェリーアイの原因や症状、治療法について詳しく解説します。
チェリーアイとは?

チェリーアイとは、イヌの第三眼瞼(瞬膜)にある「瞬膜腺」が飛び出してしまう病気のことを指します。通常、瞬膜腺は目の内側にあり、涙の分泌を助ける役割を担っています。しかし、靭帯が緩んだり外れたりすると、腺が外に飛び出してしまい目頭に赤く膨らんだ塊ができるのです。この見た目がサクランボ(チェリー)に似ていることから、「チェリーアイ」と呼ばれています。
チェリーアイの原因

チェリーアイの主な原因は、瞬膜腺を固定する靭帯の先天的な異常や遺伝的な要因です。特に以下の犬種で発症しやすいとされています。
アメリカン・コッカー・スパニエル
ブルドッグ
ビーグル
シー・ズー
ペキニーズ
ボストン・テリア
その他短頭種
これらの犬種は瞬膜腺を支える組織が生まれつき弱い傾向があり、若齢(生後1年以内)で発症することが多く見られます。また、外傷や炎症がきっかけで発症することもあります。
チェリーアイの症状と影響
チェリーアイの主な症状は、目頭に赤い塊が現れることです。初期段階では痛みを感じないこともありますが、放置すると以下のような問題を引き起こす可能性があります。
■瞬膜腺の炎症や腫れ
■涙の分泌量の低下(ドライアイ)
■角膜炎や結膜炎などの二次感染
■視界の妨げによる違和感
チェリーアイの治療法
チェリーアイの治療は基本的には手術適応になりますが、状態に合わせて炎症に対して内科療法を実施する場合もあります。
1.内科的治療(保存療法)
軽度の場合、抗炎症薬や点眼薬を使って炎症を抑えつつ、飛び出した腺を手で元の位置に戻す処置が行われます。しかし、一時的に改善しても再発することが多いため、根本的な治療とはなりにくいです。
2.外科的治療(手術)
再発を防ぐためには、手術によって瞬膜腺を元の位置に固定する方法が一般的です。現在では、腺を完全に切除するのではなく、元の場所に縫い留める「再固定術」が推奨されています。腺を切除してしまうと涙の分泌が減り、ドライアイを引き起こすリスクが高まります。
予防とケア
チェリーアイは予防が難しい病気ですが、早期発見と適切な治療が重要です。以下の点に注意しましょう。
■目の異常(赤みや腫れ)がないか日常的にチェックする
■目をこすらないように爪を短く保つ
■適切なフードやサプリメントで目の健康をサポートする
■異変を感じたらすぐに獣医師に相談する
チェリーアイは、特に若い犬や特定の犬種で発症しやすい目の病気です。見た目の問題だけでなく、放置すると涙の分泌が減り、角膜炎やドライアイなどの深刻な合併症につながることもあります。軽度のうちに適切な治療を行うことで、愛犬の目の健康を守ることができます。愛犬の目の異変に気づいたら、早めに獣医師の診察を受けるようにしましょう。
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この記事を書いた人

獣医師 塩田純一郎
獣医師。
首都圏で5年間犬猫を中心とした診療に携わりました。その後は病気のメカニズムや細胞たちの反応、薬の作用について勉強しています。
日常の身近な疑問や病気のメカニズムについて、わかりやすくお話しできればいいなと思っています。
よろしくお願いします。
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