獣医が教えるペットフードの選び方

2025/05/13

獣医が教えるペットフードの選び方

獣医が教えるペットフードの選び方

獣医が教えるペットフードの選び方

ペットフードは、目的やライフステージ、水分量などによってさまざまに分類されます。適切なフードを選ぶことで、ペットの健康維持や成長をサポートしていきましょう。

今回はペットフードの分類と特徴について詳しく解説します。

ペットフードの分類

ペットフードの分類

ペットフードは、与える目的に応じて以下のように分類されます。
1、総合栄養食
総合栄養食とは、ペットが健康を維持するために必要な栄養素をバランスよく含んだフードです。水と一緒に与えるだけで、基本的な栄養をすべて満たせるように設計されています。主食として毎日与えることが推奨されており、AAFCO(全米飼料検査官協会)の基準を満たしているかが品質の目安となります。ヒトと違い、ペットは毎日違うご飯を食べる方が胃腸のバランスを崩しやすくなるので、同じものを同じようにコンスタントにあげることが理想となります。

2、間食
間食は、おやつやしつけのご褒美、飼い主とのコミュニケーションの手段として与えられるものです。間食をあげすぎると主食以外にカロリーを摂取することになり、肥満の原因になります。また間食は総合栄養食と異なり、栄養バランスが考慮されていないものがほとんどであるため、間食を食べすぎるとビタミンやミネラルなどのバランスが崩れていきます。そのため間食は1日の摂取カロリーの10%以内に抑えるのが理想です。

3、療法食
療法食とは、特定の疾病や健康状態にあるペットの栄養管理を目的としたフードです。しっかりと病気を特定した上で、獣医師の指導のもとで与えることが推奨されます。総合栄養食と異なり、意図的に栄養素のバランスを崩している場合もあるため、適切な使用でなければ逆に健康を損なう可能性もあります。

■療法食には以下のような種類があります。
・腎臓ケア:たんぱく量を制限し、脂質を増加。リンやナトリウムを制限
・消化器サポート:消化しやすい成分を使用。種類によっては食物繊維も添加
・アレルギー対応:特定のタンパク源を避けたフード
・体重管理:低カロリーで満腹感を得やすいフード

4、その他の目的食
総合栄養食、間食、療法食以外の目的で作られたフードもあります。例えば、特定の栄養素を補うための「栄養補助食」や、手作り食のトッピングとして使われるものなどが含まれます。

ライフステージによる分類

ライフステージによる分類

ペットの成長や活動量に応じて、フードの栄養バランスは変わります。
ライフステージごとに適したフードを選ぶことが大切です。

・幼犬期・幼猫期(成長期):骨や筋肉の発達をサポートするため、高タンパク・高カロリーの食事が重要
・成犬期・成猫期(維持期):健康維持を目的に、バランスの取れた栄養摂取が求められる
・シニア期(老齢期):消化しやすく、関節や内臓の健康を考慮したフードが推奨される
・妊娠期・授乳期:高カロリー・高たんぱく質で栄養価の高いフードが必要

ライフステージごとに適したフードを選ぶことで、成長をサポートし、健康的な生活を維持できるでしょう。

水分量による分類

水分量による分類

ペットフードは、水分含有量によって以下のように分類されます。

■ドライフード(水分含有量 約10%)
最も一般的なフードで、保存性が高く、経済的です。噛むことで歯の健康を維持する効果も期待できますが、水分含有量が少ないため、十分な水を与えることが必要になります。

■ソフトドライフード(水分含有量 15~35%)
ドライフードよりも柔らかく、水分を多く含んでいます。適度な噛みごたえがありながらも食べやすいため、シニア犬や歯の弱いペットにも向いています。

■セミモイストフード(水分含有量 15~35%)
ソフトドライと似ていますが、より柔らかく嗜好性が高いフードです。ただし、防腐剤や保存料が含まれていることが多いため、成分表示をよく確認する必要があります。

■ウェットフード(水分含有量 約75%)
缶詰やパウチタイプのフードで、水分を多く含んでいるため、水分補給を兼ねて与えられます。尿石症の症例や脱水傾向の症例で飲水量を増やしたい場合などにも有用です。ドライフードのふやかしよりも水分の吸収率が良いというデータもあります。嗜好性が高く、食欲の落ちたペットにも適していますが、開封後の保存に注意が必要です。

どのようにペットフードを選ぶべきか?

どのようにペットフードを選ぶべきか?

ペットフードを選ぶ際は、様々なポイントをチェックしていきましょう。
総合栄養食を中心にし、間食や療法食などの健康状態に合った目的のフードを選ぶ。
ペットのライフステージに適した栄養バランスを考える。
ドライフードやウェットフードなど食べやすさや水分量を考慮する、などのポイントがあります。

またヒトの食事で注目されているグレインフリー(穀物完全不使用)が記載されているフードもありますが、
ペットにおいて有用性は証明されておらず、むしろ悪影響が示唆されていることもあるため、
おうちの子にあげる前にしっかりと調べて選ぶようにしましょう。

そしてフードの変更する際には胃腸の調子を崩す場合があるため、
前後でしっかりと様子を観察してあげましょう。

獣医からのアドバイス

ペットフードには、目的やライフステージ、水分量によるさまざまな分類があります。
ペットの健康を守るためには、総合栄養食を基本にしつつ、
必要に応じて療法食や間食を適切に取り入れることが重要となります。

愛犬・愛猫の健康を考え、それぞれに合ったフードを選び、バランスの取れた食生活を提供してあげましょう。

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この記事を書いた人

獣医師 塩田純一郎

獣医師 塩田純一郎

獣医師。
首都圏で5年間犬猫を中心とした診療に携わりました。その後は病気のメカニズムや細胞たちの反応、薬の作用について勉強しています。
日常の身近な疑問や病気のメカニズムについて、わかりやすくお話しできればいいなと思っています。
よろしくお願いします。

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