ネコちゃんも気をつけて！春から始まるフィラリア予防

2022/03/17

ネコちゃんのフィラリア症

3月に入って、多くの動物病院で予防シーズンが始まり、ワクチン・フィラリアの文字が目に入るようになってきました。
当サイトでも以下のコラムでご紹介してきました。

ノミ・ダニ予防（https://www.idrugstore.jp/pet/article/62）
ワンちゃんのフィラリア症（https://www.idrugstore.jp/pet/article/60）

今回はまだまだ認知度の低いネコちゃんのフィラリア症と予防について綴っていきます。

ネコちゃんにもフィラリア予防は必要？

ネコちゃんにとって、フィラリア症はどのような病気なのでしょうか。
フィラリア（犬糸状虫）は終宿主であるイヌ科の動物と媒介する蚊に感染する寄生虫で、本来はネコに寄生することはありません。
しかし、まれにフィラリアの幼虫を体内に保持している蚊に吸血されることで、ネコでも感染することがあるのです。

ネコちゃんにはどんな症状がでるの？

ネコちゃんに感染したフィラリアが起こす症状で最も怖いものが突然死。
フィラリアの虫体が心臓や血管に詰まってしまうことで引き起こされます。そして予兆となるような症状を表すことがありません。

次に危険な症状が呼吸困難。
ネコちゃんのフィラリア症としては特徴的な症状で、犬糸状虫随伴呼吸器疾患という難しい名前で呼ばれます。こちらは血管内の幼虫が肺の血管に詰まって肺に炎症を起こすものです。

その他の症状は嘔吐や食欲不振、下痢や体重減少など他の疾患でも見られるものであり、これらの症状でフィラリアを疑う優先順位は高くありません。
また感染したフィラリアをやっつける治療（駆虫）もネコちゃんの場合には心臓が小さいことや、症状を悪化させる可能性があるため行うことができません。
根本的な治療を行うことが難しく、対症療法として出てきた症状に適宜対処することになります。

また厳密な確定診断のためには感染していることを証明しなければいけませんが、そのための検査は病院内ではできず、サンプルを検査機関に送って行います。しかしこの検査も感度が高くなく難しいのが現状です。

ネコちゃんのフィラリア予防の有用性は？

ネコちゃんでのフィラリアの体内移行経路は、基本的にはワンちゃんに寄生した時と同様です。吸血されて幼虫が皮下に入り込み、皮下あるいは筋肉内で成長し、血管内に移動します。その後血流に乗って全身をめぐります。

でも、ネコちゃんはフィラリアの本来の宿主じゃないんじゃない？　と思われた方もいるのではないでしょうか。
そう、ネコちゃんはそもそも自分の免疫力でフィラリアをやっつけることができます。そのためワンちゃんと比較すると感染率が低いのです。

ただし、問題はフィラリアが死ぬ場所。
皮下や筋肉内でやっつけられた場合は大きな症状を出す事なく終わります。
しかし、血管内までたどり着いたフィラリアがいると、その死骸が細くなった血管（多くの場合は肺）に詰まって症状を引き起こします。

市販されている予防薬は血管の中に入る前、皮下や筋肉内にいる時点でフィラリアを退治することが可能です。

ネコちゃんのフィラリア予防

フィラリアに感染した時のことはわかってきましたが、具体的にどのような子が予防すべきなのかが気になりますよね。ワンちゃんと違い毎日散歩に行くわけでもないし、蚊があまり飛んでこないマンションに住んでるから、大丈夫じゃないの？　そう思っていても安心するのは早いかも知れません。

ネコちゃんのフィラリア抗体の陽性率は10%前後と言われています。
つまり、10匹に1匹はフィラリアが体内に入ったことがあるということ。マンション5、6階以上の階層でも感染したとの報告もあり、ワンちゃんよりは低いとはいえ、私たちが思っている以上に感染する機会があります。

予防薬にもさまざまな製品があり、フィラリアだけのものや消化管内寄生虫にも効くもの、ノミダニも予防できるオールインタイプの物もあります。首の後ろに垂らすだけのスポットオンタイプが最もメジャーですが、気にする子には食べるタイプなど、投与方法にもレパートリーがあります。

これら予防薬はいずれも動物病院でもらう処方薬になります。暖かくなる前に一度獣医さんに相談してみてはいかがでしょうか。

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