春の予防シーズン 狂犬病予防注射と混合ワクチンは何が違うの?

2022/04/21

春の予防シーズン 狂犬病予防注射と混合ワクチンは何が違うの?

春は予防の季節です

春といえば予防。予防といえばワクチン。

4月1日から各都道府県で狂犬病予防注射の届出が始まりました。
犬を飼っている家は毎年4月1日〜 6月30日までの間に狂犬病の予防注射を接種して届け出をすることが法律で定められています。
また「狂犬病ワクチン」とは別に、「混合ワクチン」というものもあります。
飼い主さんのなかにはこれらを混同している方もいるので、一度ワクチンとは何なのかを整理してみようと思います。

狂犬病と予防注射

狂犬病とは、ほとんどすべての哺乳類が感染する疾患で、狂犬病ウイルスを保有する動物に噛まれることで人間にも感染します。
狂犬病が発症した際の症状として、発熱や倦怠感から始まり、筋肉の痙攣や神経の興奮などの神経症状を表します。発症してしまうと致死率が100%の病気なため、人間に感染の疑いがある時点で咬傷部位の洗浄やワクチンの複数回接種などの対策をします。


それほど危険な病気のため、国内では撲滅された病気であっても予防が法律で定められており、違反すると罰金が課せられます。
例外として、体質や病気のために狂犬病ワクチン接種を避けたほうがいいと獣医師が判断した場合には、狂犬病予防注射実施猶予証明書というものを発行してもらい届け出ることになります。

国外にワンちゃんを連れていく場合には、複数回のワクチン接種や専用の書式で作られた書式が必要になります。

混合ワクチンの種類(3~6種)

混合ワクチンは数種類のウイルス、もしくは細菌に対する免疫力を持たせるためのワクチンで、最大で11種類の病原体に対応することができます。
その組み合わせや数で○種ワクチンと言った名前で病院では説明されることと思います。主な組み合わせを紹介していきましょう。

3種ワクチン
・ジステンパーウイルス
・アデノウイルスⅠ型
・アデノウイルスⅡ型

5種ワクチン
・パラインフルエンザウイルス
・パルボウイルス

6種ワクチン
・コロナウイルス

6種までがウイルス感染に対するワクチンです。
特にジステンパーウイルスアデノウイルスⅠ型パルボウイルスによる感染症はそれぞれ神経症状や肝炎、強い胃腸炎などを引き起こし致死率が特に高いため「コアワクチン※」として、しっかりとした予防が必要です。

※コアワクチン…致死率が高い病気に対するワクチン。

生ワクチンと不活化ワクチン

生ワクチンと不活化ワクチン

ワクチンはその成分の構成の種類で、生ワクチンと不活化ワクチンというものに分類されます。
生ワクチンはウイルスそのものが入っていますが、感染力を落としてあります。
不活化ワクチンは死滅させたウイルスの一部が成分になっています。

生ワクチンのメリットは、ウイルスそのものを含むためワクチンの効果が早く出る上に長続きします。コアワクチンを始めとした、ウイルスに対する混合ワクチンに含まれているものは生ワクチンとなっています。それに対して細菌であるレプトスピラのワクチンは不活化ワクチンとなります。

ワクチンのガイドラインでは、生ワクチンの抗体価は数年もつとも言われているため、病院によっては混合ワクチンを打つ頻度を毎年としていない病院もあります。ただし、7種以上のレプトスピラを含むワクチンは不活化ワクチンを含むため毎年の接種が推奨されます。

またホテルやトリミングサロンによっては、毎年のワクチン接種を条件としているところもあるため、必要に応じた接種頻度を動物病院で相談してください。

狂犬病のワクチンに関しては、ウイルスそのものを流通させられないため、その成分が不活化ワクチンであるように法律で定められています。そのため狂犬病予防注射は毎年行う必要があるのです。

このようにワクチンの種類や目的は様々あります。コアワクチンと狂犬病予防注射を中心として、各家庭のライフスタイルに合わせたワクチンの選択をしていきましょう。

混合ワクチンの種類(7~11種)

以下のワクチンは8種ワクチンを除き、5種ワクチンに加えてレプトスピラという細菌の型が増えていきます。
レプトスピラはアウトドアをよく行うお家の子は接種が推奨されます。水辺で行うアクティビティでは注意が必要です。

7種
・コペンハーゲニー型
・カニコーラ型

8種
・7種ワクチン+コロナウイルス

9種
・ヘブドマディス型

10種
・オータムナリス型

11種
・オーストラリス型

このようにレプトスピラには多くの病気の型がありますが、レプトスピラに対するワクチンはややアレルギー反応が出やすい傾向にあります。そのため、むやみに数を増やすのではなく、獣医さんと相談しましょう。
レプトスピラ感染症は東北地方では少ないですが、それ以外には全国的にみられます。山などでのアクティビティをする方は検討しましょう。

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この記事を書いた人

塩田純一郎

塩田純一郎

首都圏で5年間犬猫を中心とした診療に携わりました。
その後は病気のメカニズムや細胞たちの反応、薬の作用について勉強しています。
日常の身近な疑問や病気のメカニズムについて、わかりやすくお話しできればいいなと思っています。
よろしくお願いします。

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