低気圧に注意!梅雨や台風で増えるペットの病気
2023/07/11
気圧によるワンちゃんへの影響とは?
季節が夏めいてくるとともに強い雨や台風の季節にもなってきます。
台風による大雨や土砂災害に気をつけなければいけませんが、
台風が近づいてくるだけで起きる、目に見えない変化にも注意が必要になってきます。
そう、気圧です。
気圧の変化で頭痛を起こしたり体調を崩してしまったりする人も多いと思いますが、
ワンちゃんも例外ではありません。気圧の変化で自律神経が刺激され、体に様々な影響を及ぼします。
ストレス性の胃腸炎などをはじめとした軽い症状のものもあれば、激しい症状を引き起こしてしまうものも。
今回はそんな気圧の変化で現れる代表的な病気についてまとめてみようと思います。
けいれん・発作とその対応
気圧の変化で体調を崩しやすい病気というものがいくつか存在しますが、
その代表に「けいれん・発作」があります。
けいれん・発作は様々な理由により大脳の電気刺激が異常になったもので、
ご飯の前や来客、外出などといったことで興奮した時に起きることがあります。
症状は、軽度のものでは手足のビクつき、四肢のコントロール不能からはじまります。
その後、全身に広がっていくと意識が朦朧となり、全身をガクガクと揺らして倒れ込んでしまうこともあります。
足のびくつきなど軽度なもののまま自然におさまる事もあれば、全身に症状が広がったのちに数十分と長く続くことも。
数秒から数分で治る短いものであれば身体に影響を及ぼすことは少ないですが、
発作が続いている間は脳圧が上昇していくため、
10分以上続くような長い発作は程度によっては上昇した圧力により、脳へ治らないほどのダメージを与えてしまいます。
そのような発作になった場合には、発作の薬を使用して抑えてあげなければ命にかかわるのです。
発作が起きている時、ワンちゃんは自分の意思で身体をコントロールできないため、
無理に落ち着かせようとして抱き上げると関節を痛めることがあります。
頭をぶつけたりしないようにクッションやタオルなどで保護し、病院に相談してください。
けいれん・発作はさまざまな原因で起きますが、ワンちゃんに多く発生するのは、
ヒトでも有名な「てんかん発作」というもの。
てんかん発作が初めて起きるのは比較的若い事が多く、早い場合は6ヶ月齢から発生し、
ほとんどは2〜3歳の間で初めての発作を経験します。これは潜在的に発作を起こしやすい脳を持っているためです。
発作が起きたのに、血液検査やMRIを実施しても異常が見つからない場合にはてんかん発作と診断します。
てんかんを起こしたことのある子は発作止めを服用して発作が起きるのを防ぐ治療法が有効です。
年齢が上がってきてから起きる発作は免疫の異常や腫瘍等が疑われるため、MRI検査をおすすめします。
脳の状態を正確に把握するのはMRIが得意な検査です。
急激な天候の変化を始めとしたストレスがかかるような状況になると、発作が起きやすくなってしまうので、
天気が崩れる前後の状態を良く見て、普段と違う事が無いか注意してあげましょう。
心臓を原因とした肺水腫に要注意
心臓病の中でも、心臓の左側の弁の異常である「僧帽弁閉鎖不全症」
を持っている子に注意が必要なのが「肺水腫」です。
左の心臓に負担がかかることで肺の中に水がたまってしまい、
溺れるような状態のことを「肺水腫」と言います。
肺水腫になると、呼吸数の増加や湿った咳をすることが多く見られます。
また、呼吸をするのが辛くなるので動きが悪くなったり、
上を向いたまま口を開ける独特な姿勢で呼吸をしたりするというのも病気のサインになります。
肺水腫はそのままにしておいて治る病気ではありません。
状態によりますが、治療は入院管理をして行うケースが大部分になります。
入院中は酸素室に入って呼吸しやすい状態を作りながら利尿剤を用いて心臓の負担を軽減する治療や、
心機能の補助をする薬剤の使用がメインになります。
以前から心臓病の診断がされていると、肺水腫に気づきやすいかもしれませんが、
実は見つかっていないけれど、心臓病を持っている場合もあります。
呼吸が苦しくなる病気は他に肺炎などもあり、ほとんどの場合、
緊急性が高いので様子をみるのではなく、早めに病院へ相談してください。
咳が止まらない気管の病気
肺水腫の時は湿ったような咳をしますが、
乾いた咳で繰り返し症状が出る場合には気管や気管支の虚脱が原因のこともあります。
この咳は気管や気管支が呼吸をする際に潰れ、壁が触れ合うことで発生します。
夜から明け方にかけて頻度が上がるのですが、雨や台風で気圧が下がることでさらに気管が潰れやすくなるので、
天候の変化には注意が必要です。
気管/気管支虚脱は高齢の子に多く、チワワやポメラニアン、ヨークシャー・テリアを始めとした小型犬や柴犬に多い病気です。
気管/気管支を形作る軟骨が年齢を重ねるに連れて柔らかくなってしまうために起こります。
気管支虚脱の場合には息を吐く時に気管支が潰れます。症状としては咳が出るだけで、呼吸が苦しくなることはありません。
しかし、咳をすることで体力を消費してしまうので、咳止め等を使い、咳を抑えてあげる必要があります。
気管虚脱は息を吸うときに気管が潰れるため、症状がひどくなると呼吸困難を引き起こします。
熱中症になってしまうこともあり、ワンちゃんもパニックになってしまうので状況によっては薬で落ち着かせてあげることが必要になります。
状況に合わせて病院へ相談しましょう。
今回は台風や梅雨時期に増える病気についてまとめてみました。
低気圧で症状が出た事がある子は、繰り返し体調を崩す可能性が高くなるため、
天気予報をチェックして体調に変化が出ないかどうか注意してあげるようにしてくださいね。
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この記事を書いた人
塩田純一郎
首都圏で5年間犬猫を中心とした診療に携わりました。
その後は病気のメカニズムや細胞たちの反応、薬の作用について勉強しています。
日常の身近な疑問や病気のメカニズムについて、わかりやすくお話しできればいいなと思っています。
よろしくお願いします。
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