保護犬保護猫を救う、パナソニック・島忠が見せた企業の本気

2025/09/02

保護犬保護猫を救う、パナソニック・島忠が見せた企業の本気

パナソニック・島忠が見せた企業の本気

ここ数年、バラエティ番組やSNSなどを通じて保護犬・保護猫の存在が私たちの生活により身近なものとして感じられるようになってきました。

著名人が保護犬を飼っていると話題になることもあり、かわいそうだからではなく、
一緒に暮らしたい存在としての関心も高まっていますよね。

そんな中、譲渡会という場が果たす役割にも注目が寄せられています。
飼い主の何らかの事情で飼えなくなった犬や猫を新たな家族へとつなぐこの仕組みは、これまで自治体や動物保護団体、個人ボランティアによって運営されてきました。

しかし、最近ではその流れに企業が積極的に加わる動きが加速しています。

例えばAmazonは保護犬・保護猫を支援する寄付キャンペーンやサポートプログラムをスタート。
さらに、家具・ホームセンターの島忠は店舗スペースを地域のボランティア団体に無償で提供し、
譲渡会を定期的に開催するなど、企業による保護活動が広がっています。

企業の中でも、早くから本格的に譲渡会を主催してきたのが、パナソニックです。
2021年から始まったパナソニックの保護犬・保護猫の譲渡会は今年で6回目を迎え、4月には東京・有明で2日間にわたり開催。来場者数は1794人、参加団体は14、紹介された犬猫は実に202頭にのぼりました。

パナソニックを動かしたある社員の情熱

パナソニックを動かしたある社員の情熱

なぜ日本を代表する家電メーカーが、動物の譲渡会にこれほど注力しているのか。
その原点には、ある一人の社員Aさんの犬好きと、社会へのまなざしがありました。

Aさんは、自身が担当する除菌脱臭機・ジアイーノの購入者にペット愛好家が多いというデータに注目。
「動物の命を守る活動を通じて、自社の製品やサービスをもっと役立てたい」と考え、行動を始めたといいます。

Aさんはまず、各地の保護団体に除菌脱臭機を寄贈し、動物たちの生活環境改善を支援。
あわせてSNSで「いいね」やシェア1件につき12円を寄付するキャンペーンを実施し、合計で120万円が保護団体へ届けられました。

そうしたなか、保護団体からは「適切な会場を確保できない」「広く人を呼ぶのが難しい」といった課題が寄せられたといいます。
そこでパナソニックは「自分たちで会場を用意しよう」と考え、
ブランド力とネットワークを生かした譲渡会の開催に踏み切りました。

島忠が目指すのは循環型サイクル

島忠が目指すのは循環型サイクル

一方、島忠の取り組みはさらに早く、2017年から保護動物の譲渡会を店舗でスタート。
きっかけは、ペット用品を担当するバイヤーがイベントで偶然譲渡会に出会ったことでした。
地域での保護動物問題の深刻さを知ったことから、翌年には定期開催に踏み切ったといいます。
現在では首都圏と兵庫県の24店舗で実施され、年間で約1000匹もの犬や猫が新たな家族のもとへ旅立っています。

この取り組みで期待されるのは循環型のサイクルです。
譲渡が進むことで保護団体に余裕が生まれ、さらに多くの動物を保護できるようになる可能性があります。
島忠にとって、多くの動物が保護されるようになると、ペット用品の需要増加につながるので、
「社会貢献と事業の両立」を実現する好例といえます。

保護犬や保護猫が特別な存在ではなく、ごく普通の選択肢として認識される社会へ。
その実現には、行政、個人、ボランティアだけでなく、企業が本気で向き合う姿勢が鍵を握っているかもしれません。
パナソニックや島忠が示した本気の熱に感化され、今後さらに多くの企業がペットの保護活動に参加する未来がくるかもしれませんね。

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この記事を書いた人

大竹将義

大竹将義

1983年生まれ。放送作家。
小学生の時、魚屋さんから犬を譲り受けて暮らしていた元愛犬家。
名刺には、依頼主への忠誠を誓うという意味から、お腹を見せて寝転がるボストンテリアのイラストを使用。

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