その夜鳴き、病気かも。猫の甲状腺機能亢進症について
2021/09/07
猫の平均寿命が延びてきた
近年、動物の医療も進歩してきており、猫の平均寿命も延びてきています。
一般社団法人日本ペットフード協会の調査によると、猫の平均寿命は15.45歳という結果でしたが、診療をしていると15歳を超えても若々しい猫が増えている印象があります。
そこでよく飼い主さんから言われるのが、「うちの子、歳だからかよく夜鳴きして…」「最近よく食べるのだけれどボケちゃったのかな?」などどいった行動の変化です。
実はそんな行動の変化に病気が隠れている可能性があります。
今回は「夜鳴き」そして「多食」から考えられる病気を1つ、ご紹介したいと思います。
夜鳴きや多食は甲状腺機能亢進症の可能性
猫の甲状腺機能亢進症とは、高齢の猫に多く見られるホルモン性の病気です。
甲状腺の癌や良性の過形成を原因として、甲状腺からサイロキシンというホルモンが過剰に分泌されることで起こります。
症状は体重減少、多食、多飲多尿、活動亢進や呼吸速迫などがあります。
飼い主さんから見ると、食べても食べても痩せていく、よく水を飲み、尿量が増えている、歳なのに前より動いている時間が多い、夜鳴きをする、ハアハアしていることが多い、などがわかりやすい例でしょうか。
この中で夜鳴きやよく食べる、などの症状は飼い主さんが高齢だからそうしているんだろうと考えているケースも多く、ワクチン接種などで来院された際の診察で甲状腺機能亢進症の可能性があることを知るなんてことも。
上記のような症状があれば早めの受診をお勧めします。
甲状腺機能亢進症ではなかったとしても他の病気が見つかる可能性もあるのです。
猫の甲状腺機能亢進症の診断
血液検査にて甲状腺ホルモンの数値が高値であれば甲状腺機能亢進症と診断されます。
この病気が疑われる猫は高齢であることも多いため、全身状態を評価するために、レントゲンや超音波検査などが必要になることもあります。
猫の甲状腺機能亢進症の治療法
甲状腺ホルモンを抑える抗甲状腺薬による内科療法と、大きくなった甲状腺を摘出する外科療法があります。
飼い猫の年齢や全身状態を踏まえて、内科療法と外科療法のどちらの治療を進めていくか、動物病院の先生と相談して決めることになります。
猫の甲状腺機能亢進症の予後
猫の甲状腺機能亢進症の治療に対する反応は良好であることが多いですが、高齢での発症が多いため慢性腎不全などを併発している際は、両方の疾患に対してコントロールしていく必要が出てきます。
そのためにも高齢猫の病気は早期発見、早期治療が重要となってくるのです。
いかがでしたか?
飼っている猫ちゃんに1つでも当てはまる行動はなかったでしょうか?
高齢猫の飼い主さんは、飼っている猫ちゃんの行動に気になる変化があった場合は、早めに病院を受診し、何か病気が隠れていないか検査すると良いでしょう。
また、甲状腺機能亢進症があるか心配という飼い主さんは、健康診断で一緒に甲状腺ホルモンの検査をすることも可能です。動物病院の先生に相談してみてください。
ほとんど病院に連れて行ったことがなく、キャリーを見せるだけで逃げてしまう、などお困りの場合はこちらの記事も参考にしてみてください。
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